【韓国記者取材】天下のイチローの目にも涙…日本野球の英雄、去り際の流儀

2019年03月22日 スポーツ一般 #MLB #野球

シアトル・マリナーズとオークランド・アスレチックスの2019年メジャーリーグ(MLB)公式開幕戦が行われた日本の東京ドーム。

シアトルの9番ライトで先発出場するイチローの名前が呼ばれると、5万5000人余りの観客は一斉に歓声を上げた。東京ドームが吹き飛んでしまうようだった。スコット・サービス監督がイチローの先発出場を予告していたが、彼の一挙手一投足、その動作一つひとつが話題になった。MLB開幕戦はまさに、“イチロー・デー”だった。

オープン戦で25打数2安打に止まったが、記録は意味がなかった。

イチローは満45歳149日の年齢で、2004年にアトランタ・ブレーブスでプレーしたフリオ・フランコ(45歳227日)に続き、歴代の開幕戦出場最高齢選手2位のタイトルを獲得した。

(参考記事:WBC決勝でイチローと名勝負も…元ヤクルトのイム・チャンヨンが現役引退

イチローは日本を越えてメジャーリーグの生きた歴史だ。

アメリカ進出初年度の2001年に新人王とアメリカン・リーグMVPを総なめにしたイチローは、昨年までの18シーズンで通算打率0.311、3089安打、117本塁打、780打点を記録した。

野球国際化を掲げて、海外での公式戦開催を着実に進めてきたMLB事務局は5年ぶりに海外開幕シリーズを控え、イチローの母国である日本を選択した。

ここ数年、イチローの技量が目立って衰退したが、MLBとシアトルは日本におけるイチローの象徴性を考慮して東京ドーム開幕戦を決め、イチローが有終の美を飾れるように配慮した。

“イチロー・デー”は場外から繰り広げられた。

東京ドームに設けられたMLBカフェにはこの日、イチローに似た人形が登場し、ファンとフォトタイムイベントが行われた。ただ写真だけを撮るのではなく、ファンは仮想イチローに希望のポーズも要請できた。

多くのファンが打席に立ったとき、右手でバットを止めるイチロー特有の姿勢を要求し、笑いを誘った。横に設置された記念品ショップでは「51、イチロー」という背番号と名前が刻まれたユニホームをはじめ、関連商品が飛ぶように売れていた。

イチローのニューヨーク・ヤンキース時代のユニホームを取り出して着て東京ドームを訪れたある男性は、「シアトルでのイチローの業績を誰もが覚えている。今回の開幕戦が彼の引退舞台になるので記念ユニホームを買いたかったが、1時間以上列を作っても購入できなかった」と残念な表情で話した。

試合開始2時間余りを控えた午後4時30分にシアトルの選手たちは団体撮影をした後、ウォーミングアップに乗り出した。

この時、東京ドームにも観衆の入場が始まったが、イチローの動きに取材陣とファンの視線が集まった。

ベテランのイチローも開幕戦を控えてややプレッシャーを感じたのか、緊張した様子もうかがえたが、打撃練習ではスタンドから感嘆の声が上がった。

26回のスイングをしたが、7回もフェンスを越えた。一度は右側の電光板の近くまで飛び、入場する観客たちが足を止めて「ワー」と歓声を上げた。

電光掲示板には「イチロー・ヒストリー」の映像が上映された。MLB3000本安打と500盗塁など歴史的な瞬間はもちろん、イチローの好守備など名場面が流れた。練習中だったシアトルの選手たちも、しばらく電光掲示板を眺めたりもした。

イチローは安打を記録できなかったが、選手交代でダグアウトに戻るとき、東京ドームの観衆たちはスタンディングオベーションで彼を称えた。

昨年5月以降、事実上現役から退いていたイチローだが、コーチ陣とチームメイトたちの配慮の中で、夢に描いた東京ドーム開幕戦の舞台を踏んだ。

周りからは衰退した技量をめぐってさまざまな意見が出回り、メジャー復帰に疑問符をつけた。イチローは孤独な闘いをしながら東京ドームまでやってきたのだ。

汗まみれになったイチローは、サービス監督と抱き合って、ダグアウトでこれまでの記憶をたどりながら目頭を赤くしていた。この日だけは、試合の結果が重要ではなかった。

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