単なる国際Aマッチでの1敗、それ以上の衝撃だ。
パウロ・ベント監督率いる韓国代表は3月25日、日産スタジアムで行われた日本代表との国際親善試合で0-3の完敗を喫した。
通算80回目となった今回の“日韓戦”だったが、またしてもアウェーで屈服した。2011年の“札幌惨事”の再現だった。
90分間で韓国が記録した枠内シュートはわずかに1本。FWソン・フンミン(28、トッテナム)やFWファン・ウィジョ(28、ボルドー)ら主力が抜けたとはいえ、あまりに衝撃的な敗北だった。
ベント監督は、24日の前日記者会見で「“日韓戦”の意味はよく理解している。すべてのアクシデントを克服し、良い結果をもたらしたい」と公言していた。
しかし、ベント監督は“日韓戦”で予想外のベストイレブンを組んだ。キープ力とパス能力に長けたMFイ・ガンイン(20、バレンシア)をゼロトップに据えたのだ。
イ・ガンインが前線でボールを保持し、MFナ・サンホ(24、FCソウル)、MFナム・テヒ(29、アル・サッド)、MFイ・ドンジュン(24、蔚山現代)の2列目が日本のDFラインの後方を狙う戦略だった。しかし、試合が終わってみるとそれは“完璧な失敗”だった。
ナ・サンホ、ナム・テヒ、イ・ドンジュンは前半45分通じ、突破どころかボールタッチもまともにできなかった。後方からのビルドアップが上手く行かず、ロングボールに依存する形となったが、身長の低い前線の選手たちではまともに競り合うこともできなかった。
結局、ベント監督はハーフタイムでイ・ガンインを下げ、センターフォワードが本職のFWイ・ジョンヒョプ(29、慶南FC)を投入。前線でキープできる選手が現れたことで、韓国の攻撃はようやく活気を取り戻した。ただ、すでに試合の雰囲気は日本へと移った状態だった。
試合後、ベント監督自身も“ゼロトップ戦術”の失敗を認めた。
ベント監督は「イ・ガンインをゼロトップで起用したのは、相手DFラインの亀裂を図った戦術的な部分だった」とし、「イ・ガンインが相手の守備選手を引き連れ、その隙に2列目の選手が後方に走り込むことを望んだ。後半に少し良くなったが、ゼロトップは上手くいかなかった」と説明した。
日本のキャプテンを務めたDF吉田麻也(32、サンプドリア)は“日韓戦”前日、「今の時代にそぐわないかもしれないが、足が折れても体が壊れても、ぶつかって勝たなければならない」と声を高めた。それだけ、“日韓戦”は内容と同じぐらいに結果が重要という意味だ。
ベント監督も「意味は理解している」と話していたが、重要な一戦で一度も試したことのないイ・ガンインのゼロトップ起用を行い、失敗した。
通算80回目の“日韓戦”は、単なる国際Aマッチでの敗北の衝撃を超える試合として残ることになってしまった。
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