韓国サッカー協会(KFA)とトッテナムが、ソン・フンミン(28)の代表選出へのジレンマに陥っている。
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ソン・フンミンは、来る3月25日に日産スタジアムで行われる日本代表との国際親善試合を戦う韓国代表メンバーに選ばれた。韓国代表の攻撃を担う存在であり、チームを引っ張るキャプテンなだけに、見方によっては当然の選出とも言えるだろう。
ただ、ソン・フンミンは去る15日に行われたプレミアリーグ第28節アーセナル戦で左ハムストリングを痛め、前半19分にピッチを退いた。
韓国代表率いるパウロ・ベント監督は、同日のメンバー発表記者会見で「ソン・フンミンの負傷に関してKFAとトッテナムが連絡を取り合っている」とし、「負傷の程度によって招集の可否を決める」と述べていた。
まず、本紙『スポーツソウル』のロンドン通信員などがトッテナムに確認したところによると、ソン・フンミンの負傷は深刻なものではないと確認されている。
イギリスメディア『フットボール・ロンドン』も16日、「ソン・フンミンのハムストリング負傷は深刻なものではない。今週末(22日)のアストン・ヴィラ戦か、国際Aマッチ期間後の初戦であるニューカッスル・ユナイテッド戦(4月4日)に復帰するだろう」と予想した。
ソン・フンミンは昨年9月27日のプレミアリーグ第3節ニューカッスル戦でもハムストリングを痛めたが、わずか1週間程度で復帰したことがある。通常、ハムストリングを負傷した選手は少なくとも3~4週間以上の回復期間を要する。
ソン・フンミンが早期復帰できた理由について、韓国の医学専門家は大きく2つの可能性を提示していた。
第一に、筋肉損傷がほとんどないハムストリングの捻挫と診断されたこと。第二に、ソン・フンミンのような経験豊富なトッププレーヤーは、ハムストリング負傷の前触れを感じたらもう走らないこと。つまり、重症化を未然に防ぐ感覚があるということだ。
今回もソン・フンミンは前半の速い時間に交代されたため、上記の2つのうちどちらか1つに当たる可能性が高い。
トッテナムはまだソン・フンミンの具体的な負傷程度について発表していない。今シーズン2度目のハムストリング負傷であるため、注意深く経過を見守っているという。
となれば、KFAもソン・フンミンの代表選出について、トッテナムとまだ話が進んでいないのだろう。KFAの関係者は17日、「トッテナムは遅くとも今週金曜日(19日)までにソン・フンミンの派遣可否について返事をすることにした」とし、「トッテナムや韓国代表にとって非常に重要な選手なので、負傷部位を正確に判断する必要がある」と伝えた。
ならば、負傷が軽い水準に終わり、試合への出場が可能となったならば、ソン・フンミンは“日韓戦”に出場するのだろうか。現時点でその可能性は50%に満たないと言って良い。
まず、トッテナムは選手保護の観点からソン・フンミンの長距離遠征に難色を示すだろう。
国際サッカー連盟(FIFA)は、代表招集によって5日以上の隔離が必要となる場合、クラブが所属選手の派遣を拒否できる規定を昨年から設けた。
また、イギリス政府はプロスポーツ選手に限り復帰後の隔離を免除する措置を設けているが、有観客試合となればこの規定は適用されない。今回の“日韓戦”は有観客での開催を予定している。
ベント監督がソン・フンミンの招集可否で気を揉むのは、ファン・ヒチャン(25、ライプツィヒ)の不参加が決定したためだ。KFAは17日、ドイツ・ザクセン州の保健当局の隔離規定により、ファン・ヒチャンが代表メンバーから外れることを発表していた。
ファン・ヒチャンも発表当時はメンバーに含まれていたものの、あくまで“条件付き合流”だった。ベント監督も、ファン・ヒチャンのドイツ復帰後の隔離が免除されなければ招集しないと明らかにしていた。なお、ファン・ヒチャンの不参加による追加招集は行われない。
果たして、ソン・フンミンの韓国代表合流は実現されるのだろうか。トッテナムの回答に注目したいところだ。
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