NTTコム所属チャン・ヨンフン、史上初オリンピック出場を決めた7人制韓国代表は今何を思うか

2020年10月16日 スポーツ一般 #ラグビー

―昨年11月の東京五輪アジア最終予選、7人制韓国代表の一員として出場されましたね。

「実はあの時、チームと韓国ラグビー協会の間で話が上手くいってなくて…それに僕も指を怪我していたので、代表に参加しない方向で進んでいたんです。ですが、協会が僕の招集をずっと望んでいたこともあって、最終的には代表に合流しました。僕が合流した頃にはもう予選まで日にちも少なく、少なからず不安もありました。ですが、日本が開催国枠のため予選に出場していなかったので、それをチャンスと捉え、短期間で準備を急ぎました。この機会を逃したら、もうオリンピックに出場するのは厳しいと思っていたので」

―予選が始まるまでに怪我の状態は良くなったのでしょうか。

「協会からは、“代表に合流してから状態を見よう”と伝えられていました。そこまで大きな怪我でもなかったのですが、さらに悪化させたらNTTコムに迷惑をかけると思ったので、代表合流後もしばらくは練習に出ませんでした。でも、実際に予選が始まってからも指は腫れたままでした。なので、テーピングを巻いて試合に臨んで。タックルはほぼ片手でしていました」

―決して万全ではない状態ながら、決勝戦での劇的な決勝トライが印象深いです。当時を振り返っていかがでしょうか。

「あの瞬間は何の考えもできませんでした。周囲の声もまったく聞こえないような感覚で。ただ、自分の方までボールが回ってきて、タックルに来た相手を振り払い、サイドを走り切ってトライ。ふと気づくと、駆け付けたチームメイトで自分がもみくちゃにされていました(笑)」

―やはり、オリンピック出場にこみ上げてくるものがあったのでしょうか。

「何かこみ上げてくるものがあったというよりは、純粋な嬉しさの方が上回っていました。一緒に戦った代表メンバーとは“これは夢なのか、現実なのか”とも(笑)。それで次の日、目が覚めてやっとオリンピック出場の実感が沸きました。当時は国内でも、7人制韓国代表のオリンピック出場のニュースが多く報じられていました。それを見たからか、友達からもたくさん連絡が来ましたね。NTTコムに復帰してからも、チームメイトが“おめでとう”、“試合観たよ”と祝ってくれました」

―韓国ラグビー界にとって、今回のオリンピック出場が持つ意味は大きいと思います。

「そうでしょう。さっきも言いましたが、もう二度と来ないようなチャンスだったので。だからこそ、オリンピック出場を決めることができて本当に嬉しいですし、自分自身も本大会には必ず出場したいです。韓国内のラグビー人気を高めるという意味では、本大会で何らかの成果を上げることができれば、大きな変化が生まれるかもしれませんね」

―東京五輪本大会では、ニュージーランドやオーストラリアといった“ラグビー大国”など、格上の相手が多く待ち構えています。そのなかで、韓国はどういった目標を掲げますか。

「キャプテンは本大会で1勝することを目標に掲げていて、それがチームの総意だと思います。個人としては、強豪国と対戦してみたいです。昔から映像でしか観てこなかったセブンズの強豪、南アフリカやフィジーなどと戦いたいです。過去にも対戦する機会自体はあったのですが、そのたびに負傷で試合に出られなかったので、今回こそは経験したいですね。オリンピック本大会には強豪国がそろいますが、逆に自分たちが一番下にいると考えれば、大きなプレッシャーを感じることもないですし、一生懸命やればその分良い成績もついてくると思います。とにかく、本大会に向けて準備を進めていきたいと思っています」

「一試合でも多く出場できるように…」

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