トッテナムの“韓国のファン・ダイク”獲得交渉は長期化か「急いで交渉する理由はない」

予想通りか、はたまた予想外か。韓国代表DFキム・ミンジェ(23・北京国安)の移籍交渉が長期化の様相を呈している。

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去る7月19日、イギリスメディア『スカイ・スポーツ』は「北京国安は安値でキム・ミンジェを差し出そうとはしない。キム・ミンジェは、北京国安の断固たる態度に失望した」という背景とともに、「北京国安がキム・ミンジェの移籍を考慮するならば、大きな提案をしなければならない」と見通した。

キム・ミンジェ獲得を試みるトッテナムと北京国安の交渉が進まないなか、トッテナム側がより高いレベルの移籍金を提案してこそ、今回の移籍は実現するというニュアンスだ。

キム・ミンジェ

現在、北京国安が策定したキム・ミンジェの移籍金は最低1500万ポンド(約20億円)と知られている。

北京国安は2019年1月にキム・ミンジェを獲得した際、600万ドル(約6億4000万円)、年俸330万ドル(約3億5000万円)を支出した。

加えて、北京国安はキム・ミンジェを他のチームに移籍させる際に発生する移籍金の一部や連帯寄与金を、全北現代モータースに支払わなければならない。移籍金の20%が全北現代に支払われるため、仮に北京国安がトッテナムから移籍金1500万ポンドを受け取れば、そのうち約330万ポンドを全北現代に分けなければならない。

すでに投じた金額、そして全北現代に追加で支払わなければならない分も考慮すれば、北京国安がキム・ミンジェの移籍金を高く設定したことは何も非現実的ではない。最終決定権を持つ会長のサインをもらうには、一定水準以上の移籍金を確保しなければならないものとみられる。

交渉を急ぐ必要が無い理由とは

カギとなるのはトッテナムの態度だ。トッテナムのダニエル・レヴィ会長は、欧州サッカー界でも“駆け引きの達人”としてよく知られている。選手の移籍交渉に長けており、買う選手は安く迎え入れ、売る選手は高い金額で移籍させる。

トッテナムがキム・ミンジェ獲得を望み、実際に交渉が進んでいることは確かだとしても、これからはいかに移籍金を抑えられるかに集中するはずだ。対する北京国安側は年俸額を引き上げ、交渉で有利に立とうという動きを見せている。

実際、北京国安がキム・ミンジェの移籍金を1700万ポンド(約23億円)に引き上げたというニュースも中国事情に詳しい関係者を通じて流れている。金額を削ろうとするトッテナムと、さらに引き上げようとする北京国安の駆け引きが行われているわけだ。

トッテナムとしては、移籍交渉にそれほど慌てる理由はない。まだ2019-2020シーズンが終わっていないだけでなく、夏の移籍市場は10月5日まで開かれている。

冷静に判断をして移籍交渉を続けたとしても、何ら遅すぎることはない。仮に北京国安との交渉が決裂しても、同等の金額で他のディフェンダーを物色すればよい。

一方の北京国安も状況は同じだ。

現在、中国スーパーリーグの開幕が新型コロナウイルス感染症の影響で延期されているため、クラブの事情も多少は悪化している。一定水準以上の移籍金を得られるのであれば、キム・ミンジェを放出したほうが良い。

とはいえ、直ちにクラブ存続に危機が出るほど打撃を受けているわけでもないため、適切な交渉を通じてもらえる分の移籍金さえもらえれば良いという立場だ。万が一、破談となっても大きな損害とはならない。

中国スーパーリーグは来る7月25日に開幕予定だ。北京国安としては、中心選手であるキム・ミンジェの残留は戦力的にもプラスとなる。だからこそ、安値でキム・ミンジェを差し出すような状況ではないのだ。

関係者の話によると、トッテナムと北京国安の交渉に急速な進展がみられる可能性は大きくないという。

中国事情に詳しい関係者は、「まだ状況を見守らなければならない。両チームとも急いで交渉する理由は無いため、雰囲気がどう流れるかを予想するのは難しい」と述べた。

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