チュ・シンス(37、テキサス・レンジャーズ)の声は淡々としていた。
今季、レンジャーズとの7年契約の最後の年を迎えたが、チュ・シンスは最後という考えよりも、新たな挑戦のための出発点という覚悟で新シーズンを準備している。
特に変わった点はない。
いつものように球場に誰よりも早く顔を出して練習を開始し、チームメイトたちと気兼ねなく過ごす。チームのベテランとして後輩選手たちとコミュニケーションをとり、不便な点がないかを聞いて、コーチングスタッフとの間の橋渡し役を務めている。
米フロリダ州で新シーズンの準備をしているチュ・シンスは、2019年10月に受けた肩の手術後、リハビリを経て、ほぼ通常のコンディションに回復した。
彼は本紙『スポーツソウル』とのインタビューで、「まだ100%の状態ではないが、送球に大きな支障はない。昨年感じた痛みや異常の兆候もない」とし、「順調にコンディションを引き上げている最中」と述べた。
キャンプ地で会ったチュ・シンスはトレーニング中、エルビス・アンドラスやコーチングスタッフと打撃フォームについて長時間、話を交わした。腰を立てて上体がホームプレート方向に下げられる点を補完しようと熱を上げた。
チュ・シンスは「(打撃フォームが)大きく変わることはない。すべての打者は少しずつ欠点を持っている。私も自分の欠点を最小限に抑えられるように努力している」と、詳細は隠した。
今年はレンジャーズとの契約最後の年であるだけに、チュ・シンスにとっては思い入れも強い。
彼は「明らかなのは7年前の2013年と、今シーズン後に得るFAには大きな違いがある」とし、「すべての瞬間が大切だ。すべての瞬間を無駄に過ごすのは嫌いだ。良い契約を結びたいからではない。今までのキャリアを振り返ったとき、重要でない瞬間がなかった」と話した。
チュ・シンスは「ひとつのチームで7年間の契約をして、今年で最後の年を迎えた。何かチームに返したいという気持ちが大きい。今年のチームがしっかりしているからか、優勝してみたい気持ちも切実だ。ただただすべての瞬間が気持ちいい」とし、「メジャーリーガーとしてプレーする今この瞬間が、幸運で誇らしい。あと2年くらいはプレーする自信がある」と述べた。
メジャーリーグのベテラン選手となっただけに、言葉の一言一言に重みが出ている。
彼は「2013年にシンシナティ・レッズにいたときは、“上手くできなかったらどうしよう”という不安が大きかったが、今はすべての瞬間を気楽に受け入れている。どんな成績を残せるか、シーズン中にどんな出来事が起こるかわからないが、上手くいくと信じている。準備もしっかりした。以前は道を開拓する気持ちだったが、今は運命を信じている。この瞬間を楽しみながら、一日一日とプレーする。後のことは後で考えればいい」と述べた。
チームのベテランとなったチュ・シンスの目には、今年のレンジャーズはどう映っているだろうか。
彼は「新旧の調和が良くなった。選手たちをひとつに集めることだけが課題として残った。若い選手たちも、クラブハウスが快適だと感じられるようになるべきだ。私は自分から近づいて、いろいろと話を聞いてみるスタイル。後輩たちから受け取ったフィードバックを反映して、ベテラン選手たちに伝え、変えられるところは変える役割をたくさんしている」と答えた。
韓国で応援してくれる故国のファンに対する感謝も忘れなかった。
チュ・シンスは「いつも残念がって、叱責してくれるのも興味を持っているからだと思う。さまざまなことを指摘されて、直すところは直し、学ぶことは学んだ。韓国のファンの方が球場に訪れたり、テレビで応援してくれたりすると大きな力になる。いい言葉も悪い言葉も、すべて受け入れる余裕ができた。引き続き応援していただきたい。自分ができることを一生懸命したい」と語った。
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