かつてマンチェスター・ユナイテッドなどで活躍した元イングランド代表MFジェシー・リンガード(31、FCソウル)は今、韓国Kリーグでキャプテンマークを巻いている。
リンガードは6月16日、敵地の蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われたKリーグ1(1部)第17節の蔚山HD FC戦で先発出場し、今季2度目のフル出場を果たした。
試合は蔚山が前半に2点リードするも、後半にFCソウルが2点を返し、2-2の引き分けで終了した。
FCソウルは勝利こそ逃したものの、シーズン後半に向けて新たな“可能性”を見出した。
中盤の主力である元韓国代表MFキ・ソンヨン(35)がアキレス腱の負傷で欠場したなか、キム・ギドン監督はリンガードにキャプテンマークを託した。
イングランド・プレミアリーグでEPL)のマンチェスター・Uやウェストハム・ユナイテッドなどを渡り歩き、スタープレーヤーとして活躍したリンガードは、今冬の移籍市場最大の注目選手としてKリーグ入りを果たした。
もっとも、最後に所属したノッティンガム・フォレストを2023年6月に退団して以降、長い月日が経過した影響で実戦感覚が落ち、シーズン序盤は苦戦を強いられた。その過程で軽い膝の手術も行った。
それでも、シーズン前半の終盤にフル出場はもちろん、Kリーグへの適応が進み、調子が目に見えて良くなった。
シーズン前半にホーム5連敗など最悪の不振を経験したキム監督は、6月Aマッチの休息期間を利用し、リンガードを中心としたスタイルの成熟に注力した。
現在までゴールやアシストなどの数字はないものの、リンガードはどの選手よりも死力を尽くし、チームメイトをけん引している。
蔚山戦、FCソウルは弱点の後方ビルドアップでミスを犯し、前半開始1分で先制点を許すと、同42分にはオウンゴールで追加点を与えた。前半終了時点で早くも敗戦の色が濃くなった。
それでも後半、リンガードを中心とした反撃でFWスタニスラフ・イリュチェンコ(33)が2得点を挙げ、勝ち点1獲得に成功した。
リンガードはチーム最多のキーパス数3回をはじめ、守備ではボール獲得を3つ記録した。それだけ献身的にプレーし、仲間を鼓舞し続けた。
残念なのは、シュートがたった1本にとどまったことだ。リンガードはゴール前でもシュートを惜しむ場面がよく見られた。
「諦めずに追いついただけに、チームがより良くなり、強くなっていくのではないか」というキム監督は、「(リンガードのシュートは)まだ試合感覚が(100%)上がっていないからだ。自ら望む(シュート)タイミングがある。引き続き要求している」と説明した。
FCソウルは最近、ホーム5連敗の過程で12失点を記録したが、そのうち7失点が後半に生まれた。特に、後半20分以降だけで6失点だった。
そのため、後半以降の“底力”に対する懸念が大きかったが、今回は首位の蔚山相手に180度違ったパフォーマンスを披露した。
リンガードは試合後、「今日のハーフタイムで、チームメイトに“諦めずにもっと度胸を持って戦おう”と伝えた」とし、「ミスが頻繁に起き、オウンゴールも多いことも、我々の運命のように感じられる。しかし、蔚山のホームで追いついたのは大きな成果だ」と話した。
また、「もう少し貪欲に試合をしなければならない」と、ベテランらしく“試合に臨む姿勢”について強調した。
リンガードは以前のAマッチ期間、イギリスメディア『ザ・サン』が自身のプレミア復帰可能性を提起した点にも言及した。
「ニュースをあまり読まない」というリンガードは、「イギリスメディアは何でも作って書く。ソウルと今年を上手く乗り切っていくことが一番重要だ」と笑顔を見せた。
首位相手に引き分けたFCソウルだが、まだまだ本調子ではない。これで5連続試合未勝利(3分2敗)とし、4勝6分7敗の勝ち点18で12チーム中9位にとどまっている。
FCソウルは今後、19日に江原(カンウォン)FCとのコリア・カップ4回戦を戦い、22日に水原(スウォン)FCとのKリーグ1第18節を戦う予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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