アジアを越えた“世界進出”という蔚山(ウルサン)HD FCの願いが現実となった。
親企業を担う韓国造船最大手「HD現代(旧・現代重工業)」のグローバル戦略拡大とも相まって、クラブの快挙に関係者全員が満面の笑みを浮かべている。
ホン・ミョンボ監督率いる蔚山は4月17日、ホームの蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦で横浜F・マリノスと対戦し、前半20分のMFイ・ドンギョン(26)の決勝点で1-0と勝利した。
第1戦の勝利で、蔚山は来る24日に横浜FMホームの横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で行われる第2戦へ負担を軽減した。
それとともに、クラブ最大の目標だった2025年の新クラブW杯「ムンディアル・デ・クルーベスFIFA」の出場権を獲得した。
32チーム体制に拡大する新クラブW杯には、アジア勢から4チームが出場できる。そのうちの2枠は、2021年と2022年のACL王者であるアル・ヒラルと浦和レッズが確保している。
残りの2枠は、現在行われている2023-2024シーズンのACL王者と、直近4年間のACL成績を基にしたAFCクラブランキング最上位チームに与えられる。
同ランキングでは、すでに出場権のあるアル・ヒラルが1位(115ポイント)のため、2位チームに出場権が与えられる。
蔚山は横浜FM戦前まで78ポイントとし、同ランキング2位の全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース(80ポイント)と2ポイント差の3位につけていた。ただ、全北は今季ACL準々決勝で蔚山に敗れたため、今後のポイント上昇の可能性がなかった。
そこで今回、蔚山が横浜FMに勝利して3ポイントを獲得、81ポイントとなり2位に浮上。2025年6~7月にアメリカで開催されるクラブW杯への切符を手にした。
ホン・ミョンボ監督は試合後会見で、「クラブW杯に韓国代表として参加できるチケットを確保できてさらに嬉しい。我々の選手、クラブ、ファン全員にとって最大のプレゼントではないかと思う」と喜びを明かした。
横浜FM戦の現場には、蔚山のオーナーを務めるHD現代のクォン・オガプ会長が訪れた。
クォン会長は球団オーナーではあるが、韓国プロサッカー連盟の総裁も務めているため、蔚山のホームゲームに訪れることはほとんどない。
しかし今回、蔚山がKリーグを代表してACLの舞台を戦うだけでなく、クラブW杯出場権がかかった重大な試合だったため、会長自ら現場を訪れた。
クォン会長だけでなく、HD現代グループの各社長たちも総出動して蔚山を応援するほど、クラブに対する親企業の関心が大きかった。
蔚山のクラブW杯出場は、昨年末にHD現代の副会長に昇進したチョン・ギソン副会長の主要ビジョンとかみ合う。
チョン副会長は就任直後、積極的なグローバルビジネスを通じてグループの未来エンジンを強化し、ブランド価値を引き上げることに注力している。
そのビジョンにはサッカーチームの蔚山も含まれている。
チョン副会長は昨年、蔚山がKリーグ1(1部)2連覇を達成した際、授賞式にサプライズ登場して選手に自ら優勝メダルをかけた。
チョン副会長は韓国サッカーの“次期トップ候補とも呼ばれるが、蔚山の新たな王朝構築の時期と合わせて、自身の存在価値を知らしめている。彼は蔚山の育成に限らず、韓国サッカー界全体と呼吸を合わせる意志も強い。
蔚山の関係者は「クラブW杯出場決定を契機に、サッカーチームに対する親企業の関心が高まっている。着実に連携し、世界中に蔚山HDを知らせるための戦略と投資を惜しまない」と述べた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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