横浜F・マリノスと対戦した蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)の元韓国代表MFイ・チョンヨン(35)が“ピッチ状態”に苦言を呈した。
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イ・チョンヨンは4月17日、ホームで行われた横浜FMとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦(蔚山が1-0勝利)の試合後、「多くのサッカー関係者が芝の問題を簡単に考えてほしくない」と、韓国サッカー界で議論となっているピッチ問題に言及した。
これは最近、イ・チョンヨンの親友でもある元韓国代表MFキ・ソンヨン(35、FCソウル)が、「ソウルワールドカップ競技場の芝があまり良くない。深刻に受け止めなければならない」と発言したことと軌を一にする。
イ・チョンヨンは試合前後、横浜FMのFW宮市亮(31)やNFナム・テヒ(32)と挨拶を交わしたという。
宮市とはイングランドのボルトン・ワンダラーズ時代のチームメイトであり、その後も連絡を取り合うなど仲が良いことで知られている。ナム・テヒとも韓国代表で長年一緒にプレーした間柄だ。
ところが、彼らが最初に交わした会話は“ピッチ状態”についてだった。
「(ナム・)テヒと宮市の第一声が“芝がなぜこんなに良くないのか”、“危なそうに見える”だった」と振り返ったイ・チョンヨンは、「自分も(欧州生活を終えて)韓国に戻り4年目となるが、毎回感じている。むしろ、ますます悪くなっている」と伝えた。
さらに、「天気の影響があるとはいうが、ACLを通じてほかの(アジア)周辺国を訪れると、韓国より天気が良くない地域でも芝の状態が良い」と強調した。
実際、3月に行われたタイ代表との北中米W杯アジア2次予選2連戦では、韓国とタイとで芝のクオリティの差が目立って比較された。
韓国ホームのソウルワールドカップ競技場はピッチ状態が良くなかったのに対し、高温多湿で知られるタイ・バンコクのラジャマンガラ・スタジアムは最上の状態を誇っていた。
当時、韓国代表はホームで1-1と引き分け、アウェイでは3-0の大勝を収めたが、「芝の状態が結果に影響を及ぼしたのでは?」という声も出たほどだ。
イ・チョンヨンは「速いテンポのサッカー、攻撃的なサッカーをするためには芝の状態が重要。選手のパフォーマンスも上がり、ファンも喜ぶはずだ」と、Kリーグ各会場のピッチ状態改善を訴えた。
Kリーグでは2002年の日韓W杯に際して各地にスタジアムが建設されたが、欧州で主に使用される使われるケンタッキーブルーグラスが持ち込まれた。しかし、寒地型の西洋芝とあって、韓国の高温多湿な気候に耐えられず、損傷の程度が深刻となっている。
韓国プロサッカー連盟は2021年からサムスン物産の芝生環境研究所を芝生コンサルティング業者に選定し、ピッチの品質向上に乗り出しているが、その効果が出ているとは言えない。
ソウルワールドカップ競技場は人工芝と天然芝を混ぜたハイブリッド芝を敷いている。芝生研究所では密度や色、根の長さなど芝の生育と土壌層まで診断したが、芝の結束力は期待に及んでいない。
選手たちの苦痛を解消するためには、従来とは異なる管理システムを作らなければならない。
しかし、Kリーグ各会場の芝の管理は、クラブの本拠地にある施設管理公団や施設管理事務所で行う。芝の管理に関してクラブと利害関係が一致しない場合が多く、現状では完璧な管理に限界がある。
近年、興行が追い風に乗っているKリーグにとって、“ピッチ状態の改善”は最大の課題と言えるだろう。
なお、蔚山は次戦、来る24日にアウェイの横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で横浜FMとのACL準決勝第2戦を戦う。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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