パリ五輪出場を目指すU-23韓国代表率いるファン・ソンホン監督が、韓国A代表の暫定監督を務めることで決定した。
韓国サッカー協会(KFA)の国家代表戦力強化委員会は2月27日、ソウル新門路(シンムンロ)のサッカー会館で開いた第3回会議を通じて、3月にタイ代表との2連戦を戦う北中米W杯アジア2次予選に関して、ファン・ソンホン監督が暫定で指揮を執ることを発表した。
アジアカップを終えてユルゲン・クリンスマン監督を解任したKFAは、チョン・ヘソン委員長を中心に後任を選任する国家代表戦力強化委員会を新たに構成した。
ただ、今月21日に実施した第1回会議では韓国代表監督の選任基準となる「8つの資質と要件」として、△スカッドに合ったゲームプランを立てて実行できる戦術的力量、△脆弱なポジションを解決できる育成、△指導者として大義名分のある成果、△指導者としての豊富な大会経験と経歴、△選手、協会、世代別代表と哲学を共有できるコミュニケーション能力、△MZ世代の性向に合わせてチームをまとめることができるリーダーシップ、△最上のコーチ陣を作る能力及び戦術面や選手選抜など監督が最適な決定を下せる人的システム、△これらの資質を基に成績を出せるかどうかの能力を挙げたが、「明確な方向性がない」として批判を集めた。
さらには、3月のW杯アジア2次予選に合わせて正監督を選任する意向を示し、現在Kリーグで指揮を執る韓国人監督を優先順位に置くと伝えた。
そのため、Kリーグ2連覇中の王者・蔚山(ウルサン)HD FCを率い、過去に代表監督を務めた経験のあるホン・ミョンボ監督をはじめ、済州(チェジュ)ユナイテッドのキム・ハクボム監督、FCソウルのキム・ギドン監督などKリーグ各チームの指揮官が候補に浮上。これに各チームのファン・サポーターは激怒し、3月1日の新シーズン開幕目前に監督を引き抜こうとする行為を「リーグを無視する行動」と非難した。
すると、24日に開いた第2回会議では、一転して3月のW杯アジア2次予選を“暫定監督”体制で臨むことで内部合意。わずか3日で正反対の結論を下すという、自分たちが世論に振り回される集団であることを自ら証明した。
暫定監督の候補には元ベトナム代表監督のパク・ハンソ氏も挙げられていたが、最有力に挙げられたのがファン・ソンホン監督だった。
来る4月にパリ五輪本大会出場をかけたU-23アジアカップが控えるファン・ソンホン監督は、当初はAマッチ期間にU-23代表選手を招集し、キャンプなどを通じて大会の準備を進めようとした。
ただ、KFA内部では現場感覚だけではなく、現在の騒々しいチーム内の情況をよく知っていながら、確固たるリーダーシップを発揮できる人物を見つけ出すことが容易ではなかった。
ファン・ソンホン監督は昨年の杭州アジア大会で、U-23韓国代表を大会3連覇となる金メダルに導いた。当時はA代表でも主力を張るMFイ・ガンイン(22、パリ・サンジェルマン)やFWチョン・ウヨン(24、シュトゥットガルト)とも息を合わせたことがある。当然、国内組の選手もよく知っているだけに、KFAとしては最も安定的な選択を取った形だ。
五輪出場をかけたU-23アジアカップを目前にして、A代表も同時に指揮することになったファン・ソンホン監督だが、早期からこのような雰囲気を察知して事前に準備を進めてきたという。
現役時代にセレッソ大阪、柏レイソルで活躍し、C大阪時代の1999年には韓国人選手初のJリーグ得点王にも輝いたファン・ソンホン監督。今回、コーチ陣との二元化を通じて、二兎を同時に捉えなければならない重責を抱えることになった。
なお、正監督については5月上旬までに正式に選任する予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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