サッカー韓国代表を率いるユルゲン・クリンスマン監督が急きょ韓国に帰国し、自身をめぐる議論について直接言及した。否定的な視線を向けるより、まずは来年1月のアジアカップまで「ポジティブな世論」が必要だと強調したのだ。
韓国代表は9月に欧州で行われた国際親善試合2連戦を1勝1分で終えた。ウェールズ代表とは0-0で引き分け、サウジアラビア代表には1-0で勝利した。
欧州遠征を終え、クリンスマン監督は9月14日に仁川(インチョン)国際空港を通じて韓国に帰国した。
韓国サッカー協会(KFA)は前日の13日午後、「クリンスマン監督は当初、今週末に行われるバイエルン・ミュンヘンの試合を視察した後、欧州クラブ訪問や関係者とのミーティングを経て、10月のAマッチを控えて欧州のコーチングスタッフと現地で分析を進めて帰国する予定だった。ただ、本日のコーチングスタッフ会議において、10月のメンバー発表前にKリーグの選手を先に確認する業務を開始することで決定し、日程が変更となった」と発表した。
頻繁な外遊、職務怠慢などの議論に巻き込まれたクリンスマン監督が、自身に対する否定的な世論を意識して自ら帰国を決定したものと見られた。
14日、帰国直後に空港で報道陣の取材に応じたクリンスマン監督は、「多くの方が私を待っているという話を聞いたし、協会でも海外遠征を終えて選手が帰国する際、監督も一緒にするという話をしてくれて、来ることになった」とし、「バイエルンの試合を観戦する予定だったが、日程を変えたからといって大きな問題にはならなかった」と述べた。
クリンスマン監督は今年2月末に韓国代表の新指揮官に就任して以降、現在まで韓国国内に滞在した期間がわずか2カ月程度しかない。
就任当時は報道陣の「韓国常駐の有無」に関する質問に対し、「韓国に常駐する。私は(サッカーを通じて)運良く色んな国を経てきた。韓国に居住しながら、人や文化を経験したい」と発言していたが、これまで真逆の行動を続けてきた。
Kリーグの現地視察はほとんど行わずに海外を転々とし、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)の組み合わせ抽選会に参加するなど、代表監督としての業務とまったく関係のない日程を消化し、物議を醸していた。
ただ、クリンスマン監督は「今後も欧州を行き来する予定だ。欧州で観戦しなければならない試合がある」と自身の意思を曲げることなく、「次の国際Aマッチまで時間があまり残っていないため、コーチ陣と次の相手を分析しなければならない。その後は北中米W杯予選に突入する。メンバーをどのように構成するか悩んでいる」と伝えた。
クリンスマン監督は就任以降の6試合で1勝3分2敗という成績を収めている。
自身の1次ミッションである来年1月のアジアカップまで4カ月も残されていないなか、未だ明確な戦術を示すことができていない。何より、代表監督としての勤務態度で多くの批判を浴びるなか、すでに解任論も浮上しているほどだ。
それでも、「来るアジアカップが自分の試験台になるだろう」と伝えたクリンスマン監督は、「アジアカップで良い成績を収めるという自信がある。発展し、成長する過程を経ている。ポジティブなチームの雰囲気が形成されている。見守ってくれると助かる」と続けた。
また、「当然、結果が良くなければファンやメディアの叱咤を受けるしかない。監督の宿命だ。今回のアジアカップが起点になるだろう」とし、「トーナメント経験は多い。チームを組むことの経験もあるので、前向きに捉えている」と付け加えた。
そして、自身の行動と代表に対する否定的な視線を控えてほしいと呼びかけた。
「ポジティブな世論が形成されてこそ、力を受けることができる」と強調したクリンスマン監督は、「内部でいくら団結していても、外部で否定的な世論が形成されればチームは動揺せざるを得ない。ドイツ代表がその例だ。彼らはカタールW杯の開幕前、チームを取り巻くすべてが否定的だった結果、最終的にグループステージで敗退することになった。望む結果が出なければ、そのときに初めて叱責と非難を受けたとしても遅くはないと思う」と述べた。
なお、韓国代表は10月の国際親善試合において、13日に水原(スウォン)ワールドカップ競技場でチュニジア代表、17日にソウルワールドカップ競技場でベトナム代表と対戦する予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ