これまで幾度となく失敗に終わってきた米メジャーリーグ(MLB)の韓国開催が、今回再び進められていることわかった。
オールスターチームの訪韓やオープン戦などではなく、レギュラーシーズンの試合を首都ソウルで開催する計画とのことだ。
MLB機構が、来年3月にソウルの高尺(コチョク)スカイドームでサンディエゴ・パドレス対ロサンゼルス・ドジャースによる開幕シリーズを構想している。
アメリカメディア『ジ・アスレチック』は5月8日(日本時間)、MLBがパドレス対ドジャースのシーズン開幕戦をソウルで開催することを考慮していると報じた。
パドレスには侍ジャパンのダルビッシュ有(36)のほか、韓国代表内野手のキム・ハソン(27)などが所属している。開催地として優良な高尺スカイドームは、キム・ハソンが韓国時代に在籍したキウム・ヒーローズの本拠地だ。同地でパドレス対ドジャースの開幕シリーズ2試合を実施する計画だという。
韓国野球委員会(KBO)の関係者も「来年3月のソウルでのMLB開幕戦を推進中だ。場所は天気などを考慮して、高尺スカイドームが最も適していると判断した」とし、「以前に推進したKBOリーグのアメリカでの開幕戦は保留状態だ。それよりも、MLBの韓国での開幕戦の方が現実性があると判断し、推進している」と伝えた。
計画・推進は以前から続いていた。数年前からMLBオールスターの高尺スカイドームでの試合が計画され、昨年冬には実際にチケット販売まで行われた。
昨季限りでセントルイス・カージナルスで引退したアルバート・プホルス(43)の現役最後の試合が、昨年11月に高尺スカイドームで開催予定だったMLBオールスター対KBOオールスターになる可能性もあった。
だが、常にそうだったように当時も採算が合わなかった。メジャーリーガーの年俸に合わせるには、チケット価格を少なくとも韓国シリーズの2~3倍に策定しなければならない。
しかし、韓国での認知度を見ると、MLBオールスターよりも特定の球団の選手の方が高い。加えてプホルスの訪韓も消滅した。こうした状況で予約率が凄惨な数字を叩き出したことで、MLB機構側がオールスターゲーム開催を急遽取り消してしまった。
かといって、韓国市場を完全に放棄したわけではない。KBOはその後もMLBとのスキンシップを継続した。
今年初めにはKBOのホ・グヨン総裁がMLBの幹部と会い、その場で韓国でのMLB開幕シリーズやアメリカでのKBO開幕シリーズ開催などをめぐり対話を交わした。
はじめは2024年シーズンのLGツインズ対KIAタイガースの開幕シリーズをロサンゼルスで開くことを計画していたが、それよりも韓国でMLBの開幕シリーズを開催することの方が現実的だという判断が出た。
MLB機構の立場としては、最高の興行カードと言えるだろう。パドレスのキム・ハソンはリュ・ヒョンジン(36、トロント・ブルージェイズ)に次いで韓国で知名度が高く、人気のある韓国人メジャーリーガーだ。現在もほぼ毎試合で出場しているだけに、開幕シリーズ2試合いずれも出場可能である。
キム・ハソンの立場としても、メジャーリーガーの身分で古巣の本拠地である高尺スカイドームで戦えることに大きな意味があるだろう。
また、ドジャースは韓国で最も認知度が高いメジャー球団だ。ドジャースではかつてパク・チャンホ氏やリュ・ヒョンジンらが在籍し、先発投手陣をけん引してきた。
現在のドジャースに韓国人選手はいないが、依然として韓国の多くの野球ファンがドジャースの試合を毎日視聴している。クレイトン・カーショウ(35)は今も韓国のMLBファンに注目されている。
韓国でMLB開幕シリーズが実現する場合、同試合に先立ってKBO球団と高尺スカイドームでオープン戦を実施する可能性も予想される。
過去には日本でもMLB開幕シリーズが行われたが、当時もNPB球団とのオープン戦が組まれていた。高尺スカイドームでキウム、もしくは別のMLB球団がパドレス、ドジャースとオープン戦を戦うことになれば、こちらも大きな関心を集める見通しだ。
MLBは約100年前の1922年に韓国を訪問し、試合を開催したことがある。当時はメジャーリーガー3人とマイナーリーガー連合でチームを構成し、韓国チームとの試合で23-3の大勝を収めたという。
仮に2024年3月にパドレス対ドジャースの韓国での開幕戦が実現することになれば、102年ぶりに韓国でメジャーリーガーたちが試合を戦うことになる。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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