去る2018年、ジャカルタ・アジア大会に出場したU-23韓国代表にオーバーエイジ枠で合流し、9ゴールで得点王に輝く活躍で金メダルをもたらしたファン・ウィジョは、A代表不動のストライカーに浮上。また、当時在籍したガンバ大阪から欧州進出を果たし、リーグ・アンのボルドーでも主力として活躍した。
しかし、昨夏に交渉が遅れて開幕直前にイングランド・プレミアリーグのノッティンガム・フォレストと契約、同時にギリシャのオリンピアコスへレンタル移籍すると、適応に苦しみスランプに陥った。
そして今年2月、オリンピアコスとの契約を解除し、ソウルに6カ月間の短期レンタル契約で加入。実に6年ぶりのKリーグ復帰を果たしたが、開幕5試合すべてで先発出場も無得点としている。
A代表でも、FWチョ・ギュソン(25、全北現代モータース)やFWオ・ヒョンギュ(21、セルティック)など若手が存在感を示すなか、ファン・ウィジョは“自分自身との戦い”に取り組んでいる。
ソウルを率いるアン・イクス監督は、ファン・ウィジョが得点に関する負担を背負い過ぎないよう、楽にプレーできるように戦術的変化を図っている。
とはいえファン・ウィジョ自身、ゴールを決めてチームの勝利に直接貢献したいという責任感は強く感じている。そんな重要な時期で、親交の深いイム・ヨンウンの現地応援は大きな力となるに違いない。
強大な“チケットパワー”を誇るイム・ヨンウンの効果は直ちに現れた。ソウル対大邱のチケットは、3日18時の予約販売開始からわずか30分で2万5000枚が売れた。そして、5日18時には3万5000枚を突破した。
何より、イム・ヨンウンと公式ファンクラブ「英雄時代」はソウルに対する配慮の姿勢でも注目を集めている。
「英雄時代」のコンセプトカラーは水色なのだが、偶然にもソウルと対戦する大邱のチームカラーも同じ水色。するとイム・ヨンウンが最近、ファンクラブに「スタジアムの外では構いませんが、スタジアム内では彼らの応援文化のために、英雄時代の服は脱いでおいた方が良いと思います」と呼びかけ、ファンもこれに応えた。
また、チケットの購入過程も話題を呼んだ。ソウル関係者によると、「スホシン(ソウルのサポーター集団)がいる応援席を除き、イム・ヨンウンがよく見えるW席(本部席)を中心に購入していた。スタジアム内の応援文化を最大限配慮する姿勢に感動した」という。
予定通り、3万5000人以上の観客がソウルワールドカップ競技場を訪れれば、ソウル対大邱の試合は新型コロナウイルス感染拡大以降の韓国プロスポーツにおいて最多観客数を記録する見通しだ。
これまでの最多観客数は、今年2月25日に蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われた2023年シーズンのKリーグ1開幕戦である蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)対全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースで、2万8039人を記録した。
これにとどまらず、2018年以降の有料観客数最多記録を立てる可能性も高い。同記録の1位は2019年6月16日、ソウルワールドカップ競技場で行われたソウル対水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスで、3万2057人が来場した。
ファン・ウィジョは本紙『スポーツソウル』を通じて、「今回の始球式に限らず、韓国サッカーをこよなく愛してくれるイム・ヨンウンさんに感謝したいです。これをきっかけにKリーグやFCソウルへの関心も高まってほしいです。来てくださる多くのファンに感謝し、良いパフォーマンスで報いたいです」と話していた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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