同日12時から行われた韓国代表とオリックス・バファローズの強化試合では、会場内は静かな雰囲気だった。観客席にファンは入っていたものの、賑やかな様子ではなかった。
しかし、18時から始まる侍ジャパン対阪神の試合の雰囲気は違った。観客入場が始まった16時30分頃からドーム周辺はひとで一杯になり、観客席のあちこちが早々に埋まり始めた。日本の代表的人気球団である阪神、また侍ジャパンのスター選手たちを見るための人だかりだった。
だが、最も多く関心が集まった選手はやはり大谷だった。
すでにバンテリンドーム名古屋で行われた中日ドラゴンズとの強化試合でも、フリー打撃で見せた大谷のバッティングはドームを大きく響かせるほどだったが、大阪でも同じ場面が演出された。“大谷熱風”は名古屋を経て大阪を経て、1次ラウンドが行われる東京ドームまで続く勢いだ。
早々に入場した観客たちは、大谷がフリー打撃のためバッターボックスに入った瞬間、全員が首をグラウンドの方に向けた。そして一斉にスマートフォンを構え、普段では簡単に見られない場面を記録として残そうと一心不乱に撮影していた。本当にすべての観衆が、大谷一人のために歓声を上げる準備をしていた。
大谷の打球が高く上がり、はるか遠くの観客席に向かって飛ぶたびに歓声と拍手が沸き起こった。ラーズ・ヌートバー(25、セントルイス・カージナルス)や吉田正尚(29、ボストン・レッドソックス)などほかのスターもいたが、大谷への歓声とは比べ物にならなかった。
大谷はフリー打撃で24スイングをし、6本の柵越えを放つ怪力を発揮した。なかにはドーム最上段まで向かう打球もあった。