ところが、思わぬ事態が発生した。最終エントリー入りしていたチェ・ジマン(31、ピッツバーグ・パイレーツ)がWBCに出場できなくなったのだ。チェ・ジマンは過去の手術歴を考慮され、所属球団のパイレーツから出場許可が下りなかった。
そんな彼の代役に選ばれたのがチェ・ジフンだった。候補にはベテランのオ・ジェイル(36)も含まれていたが、代表は“多様性”を考慮して彼を選出した。
1997年7月生まれの25歳で、2020年のデビューから今年でプロ4年目とまだ若いチェ・ジフンだが、すでに国内トップレベルの実力を持っている。
特に昨シーズンは全144試合に出場して打率0.304(570打数173安打)、10本塁打、61打点、OPS(出塁率+長打率)0.788を記録。SSGの韓国シリーズ制覇に貢献するとともに、自身も「2022ジョア製薬プロ野球大賞」守備賞、「2022プロ野球スポーツソウル今年の賞」今年の守備を受賞するなど、主に守備面での活躍を高く評価された。
代表とは別に、体は早々から作っていた。昨年12月からウェイトに突入し、休むことなくトレーニングに励んだ。春季キャンプでも「体調はベストだ」と公言したほどだ。体重も7~8kg増量した。
覚悟そのものから格別だ。「代替招集であれ何であれ、韓国代表としてWBCに出場する。責任感を持って戦わなければならない。そのことばかり考えている」というチェ・ジフンは、「太極マークに相応しいプレーを見せるべきではないかと思う。勝つことが最も重要だ」と強調した。
WBCで一度対戦してみたい選手がいるかを聞いてみた。すると、チェ・ジフンは「これまでは漠然と“あのような投手たちのボールを打ったらどんな感覚なのだろうか”と思っていた。(WBCは)すべての国で最も優れた技量を持つ選手が集う最高の大会だ。対戦したい選手がいるというより、彼らの野球を直接目で見て学びたい」という。
また、「オオタニと対戦する想像は一人でたくさんした」とし、侍ジャパンの大谷翔平(28、ロサンゼルス・エンゼルス)の名を例に出すと、「はじめに出る選手たちがたくさん打つのではないかと思う。いつ出ることになっても、グラウンドに立てば上手くやらなければならない。どんな作戦でも上手く遂行しなければならない。オオタニに限らず、どんな投手が相手でも自分がすべきことをすれば良い。自分が雰囲気を変えられる場面があれば良いと思う。そのようなプレーをできるのであれば本当に良い」と伝えた。
体の状態も良くコンディションもバッチリで、勢いに乗りつつある状態のなか、残るは実戦感覚だ。投手陣のライブBPでは実際に打席に立ち、投球を直接見たりもした。
「(実戦感覚は)今、最も心配な部分だ」と打ち明けたチェ・ジフンは、「それでも、自分だけ打たずに行くというわけではないから、代表に合流して早く引き上げたい」と覚悟を固めた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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