マジョルカCEOの先制的な「イ・ガンイン死守」発言は無理があったのだろうか。
2021年夏にバレンシアから韓国代表MFイ・ガンイン(21)を獲得するにあたり、主導的に交渉に乗り出したマジョルカのアルフォンソ・ディアスCEOは今月上旬、本拠地ビジット・マジョルカ・エスタディで本紙『スポーツソウル』の単独インタビューに応じた。
その際、冬の移籍市場で注目株に浮上したイ・ガンインに対する欧州主要クラブからのオファー報道について、「すべてデマに過ぎない」と断言した。
スペインメディアが言及したイ・ガンインのバイアウト(最小移籍金)1700万ユーロ(日本円=約24億円)については明言を避けたが、「イ・ガンインは我々の中心選手であり、本人もよく知っている。目標の(1部)残留のために絶対に必要な選手だ。彼もここで幸せだと何度も言っていた。今はクラブ、選手ともにハッピーだ」とし、冬の“移籍不可能”を公に宣言していた。
当時、『マルカ』などスペインメディアは欧州4チームがイ・ガンインを狙っていると報じていた。イングランド・プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドやアストン・ヴィラ、チャンピオンシップ(2部)のバーンリー、オランダ・エールディヴィジのフェイエノールトなどがそれだ。
しかし、ディアスCEOはこれらのオファーが「ただのデマ」であると一蹴。イ・ガンインが少なくとも今季いっぱいはチームに残ると確信に満ちた表情で伝えていた。
ただ、最近の状況を見ると、イ・ガンインとマジョルカの間に異常な空気が漂っている。『マルカ』は25日、「イ・ガンインがマジョルカで幸せではない」とし、冬の移籍市場で自身に来たオファーをすべて拒否したクラブの行動に不満を抱いていると報じた。
バイアウト条件を満たすオファーでない限り、交渉にも応じないというクラブの態度に失望したという意味だ。
また、イ・ガンインは自身のインスタグラムアカウントでマジョルカのクラブ公式アカウントのフォローを外したことが明らかになるなど、不満を公に表している。
現地メディアを総合すると、ここ最近でイ・ガンインに関心を持っているチームには、前述した以外にラ・リーガの強豪アトレティコ・マドリードやプレミアリーグのブライトンが挙がっている。実際、両チームは中盤の補強を計画している。
ただ、1700万ユーロに達するバイアウト金額を支払えるかについては言及されていない。それでも、サウジアラビアの政府系企業による買収で潤沢な資金を手に入れたニューカッスルが、資金競争力で抜けていると評価されている。
とはいえ、ディアスCEOの発言通り、イ・ガンインとマジョルカが最近まで「Win-Win」の構図を描いていたのは事実だ。
前所属のバレンシアで主力争いに苦戦し、契約解除で退団したイ・ガンインは、マジョルカ加入後に転換点を迎えた。特に今季は主力に定着し、リーグ戦17試合で2ゴール3アシストを記録している。左足から繰り出す精巧なキック、クリエイティブなプレーに守備力までアップした。
イ・ガンインの価値がさらに高まったのは昨年行われたカタールW杯だ。韓国代表メンバーとしてW杯初出場を果たしたイ・ガンインは、グループステージ第2節のガーナ代表戦で途中出場からわずか1分でFWチョ・ギュソン(25、全北現代モータース)のゴールをアシストする活躍を披露するなど、韓国のベスト16進出に貢献した。
カタールW杯での活躍から、自然にイ・ガンインに対する関心も高まった。イ・ガンインとしてはキャリアでより良い未来を描ける機会が来たにもかかわらず、クラブが一方的に拒否の姿勢を見せたことに怒ったものとみられる。
ディアスCEOの「クラブ、選手ともにハッピーだ」という発言は、事実でありながらも、他チームの接近を制御するための布石だったようだ。彼は当時、本紙に対して韓国のファンにも自身の見解が確実に伝えられることを願うと話していた。
しかし、結果的にはイ・ガンインがクラブの意思に失望感を表現したことで、両者の葛藤が大きくなる様相だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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