メッシはこれまで、サッカー選手として果たせなかったことはほとんどなかった。所属リーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、FIFAクラブワールドカップ、コパ・アメリカで優勝を経験し、バロンドールも7回受賞した。
そんなメッシに足りなかったのが、まさにW杯の優勝トロフィーだった。メッシは元ブラジル代表ペレ、元アルゼンチン代表ディエゴ・マラドーナなど往年のレジェンドともあらゆる経歴で引けを取らない選手だが、W杯優勝歴だけがなかった。ペレは3回、マラドーナは1回、W杯優勝を経験している。
メッシ擁するアルゼンチンは、2014年ブラジル大会では準優勝にとどまり、前回のロシア大会ではベスト16で敗退した。両レジェンドと比べると、常に“2%”が足りないことに言及せざるを得なかった。
それだけに、メッシとしては今大会の優勝がいつになく重要だった。自分が世界サッカー史上最も優れた選手であることを証明するためには、カタールの地でチャンピオンにならなければならなかった。
決して簡単な挑戦ではなかったが、メッシはついに王座に就いた。
今大会で全7試合先発フル出場、7ゴール3アシストを記録したメッシはまさに最高の選手だった。グループステージでは最終節ポーランド戦以外で得点し、決勝トーナメントでは全試合で得点する活躍ぶりだ。グループステージと決勝トーナメントの全試合でゴールを決めた選手は歴代W杯でメッシが唯一だ。
この日の試合でも、前半の先制ゴールと延長後半の一時勝ち越しとなるゴールを決めた。そこに加え、PK戦では1番手のキッカーとしてシュートを成功させ、アルゼンチンを優勝に導いた。チームメイトの助けもあったが、自らが最高の活躍を見せ、トロフィーを獲得した。
アルゼンチンの優勝をけん引したメッシは、大会最優秀選手に贈られるゴールデンボールを受賞した。得点王(ゴールデンブーツ)はフランス代表FWキリアン・エムバペ(23、パリ・サンジェルマン)に渡ったが、より重要な優勝トロフィーとゴールデンボールはメッシに渡った。今大会最後の勝者だった。
授賞式で、メッシは壇上に一人で上がってゴールデンボールのトロフィーを受け取った後、ゆっくりと歩いてトロフィーにキスをした。いつにも増して明るい表情でトロフィーと向き合ったメッシは、約8万人のアルゼンチンの観衆から大きな歓呼を受けた。
直後のメダル授賞式でも、メッシは最後に登場して拍手を受けた。観客はメッシの名前を大きく叫び、レジェンドに祝福を送った。
そして、キャプテンとしてトロフィーを手に持ったメッシは、ゆっくりと仲間のもとに近づき、力強く天に突き上げた。その瞬間、メッシは地球上最高のスポーツフェスティバルの主人公になった。
カタールを自分の土地にして見せたメッシは、ペレやマラドーナを超えて「オールタイムナンバーワン」、あるいは「GOAT(GGreatest of all time)」となった。韓国でも多くのメディアが“メッシ”と“神”を組み合わせた「メッ神」という表現を用いていた。
自分に唯一足りなかったW杯トロフィーまで獲得したのだから、今やメッシが歴代最高の選手だという評価を疑う余地はない。彼は真のサッカーの神だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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