ドーハ市内から車で約40分ほど走るとコンテナが目についた。ハマド国際空港から近かったが、「はたしてここに宿舎があるのか?」という気がした。それだけ人通りの少ないところだった。
それこそまさに“荒野”だった。周辺には飲食店どころかマートも見えなかった。ファンビレッジ自体もコンテナが並び、まるで“群落”のようだった。
宿泊施設というより、災害時に入る避難所のように見えた。いざ目で確認すると、“一時しのぎ”として用意した空間だと強く感じた。
記者がタクシーを降りるや否や、保安要員が強い警戒の目を向けてきた。完成した宿舎の内部を見ようと数回試みたが、結局保安要員の制止を受けた。
そこで反対側に視線を向けると、まだ完成していないコンテナが散らばっていた。
未完成のファンビレッジ内部を覗いてみると、全体的に狭く粗悪だった。シングルベッド2台、またはダブルサイズのベッド1台が入るといっぱいになる空間だった。
海外サッカーを見に来たファンが荷物を解く余裕のある空間もなさそうだった。
開幕まで1週間も残っていないにもかかわらず、ここはまだ工事真っ只中だ。
チョッキを着た作業員が多くいた。かといって、作業を急いでるわけでもなかった。一部の作業員は、まだ完成していないコンテナの内部で休憩を取っていた。
排水工事も進行中だ。発電機の稼働でものすごい騒音が発生していた。
カタールの人口は約270万人だ。国際サッカー連盟(FIFA)は、W杯期間中の訪問客数を120万人と予測している。全世界から、カタールの人口の半分を超える人々が一堂に会するという意味だ。
はたして訪問客のなかで誰がこのように劣悪で高価なファンビレッジを訪れるのか、強い疑問がある。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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