当初、2023年アジアカップは中国で開催される予定だった。
しかし、中国が新型コロナウイルスの感染拡大を理由に今年5月に開催辞退を発表すると、韓国はKFA(韓国サッカー協会)チョン・モンギュ会長の主導で、ユン・ソギョル政府の支援まで受けてアジアカップ誘致に参戦。
1960年の第2回大会以来、63年ぶりの自国開催を目指し、カタールやインドネシアと熾烈な誘致合戦を繰り広げた。
チョン会長やチョン・ハンジン事務総長などのKFA幹部は、執行委員会会議の期間に合わせてマレーシアに発ち、誘致作業を行った。
自国で長い間アジアカップを開催できなかったことだけでなく、中国が開催辞退しただけに、同じ東アジア地域の韓国で大会を開くことに名分があり、アジアサッカーの均衡発展に役立つということをアピールし続けた。
これに先立ち、文化体育観光部(文部科学省に相当)のパク・ボギュン長官は、「2023 AFCアジアカップ大韓民国誘致広報大使発足式」の場で「サッカーとK-カルチャーを融合したフェスティバルの場を作る」というビジョンを明らかにしていた。
しかし、韓国のアジアカップ自国開催の夢は無残にも踏みにじられた。
AFC執行委員会は、カタールが主要な国際大会をほぼ独占する状況を認知したにもかかわらず、「名文よりも実利」を選択した。
AFCの事情に詳しい複数関係者によると、カタールはアジアカップ誘致申請をするにあたり、参加国の航空費や滞在費、人件費などを含む大会運営費全体を支援する条件をつけたという。何より、今年のW杯で使用したインフラをそのまま活用できる点が最大の長所だった。
同関係者は、「FIFA(国際サッカー連盟)がW杯の48カ国開催を推進したように、現在、世界のサッカーは徹底的な“経済論理”に戻っている。AFCでも、カタールをはじめとする“オイルマネー”を前面に押し出した中東の支配下に置かれて久しい」と強調した。
なお、2027年アジアカップの開催国もサウジアラビアが有力視されている。こうなると、アジアカップ史上初の3大会連続中東開催(UAE開催の2019年大会含む)となる可能性が高い。
かといって、韓国の誘致失敗の原因を「オイルマネー」や「中東カルテル」といった外部事情で断定することはできない。
韓国サッカー界の内外では、現在のチョン・モンギュ会長体制によってKFAの「外交力不足」が長期化することへの批判が大きい。