「神戸は強い相手でした。僕たちもしっかり準備していたので、勝つことができて本当に良かったです」
全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースのゲームキャプテンを務めたキム・ジンスは、延長戦までもつれたヴィッセル神戸との激闘をそう振り返っていた。
8月22日、埼玉スタジアム2002で行われたAFCチャンピオンズリーグ準々決勝のヴィッセル神戸対全北現代。試合は後半19分に神戸が先制するも、その2分後に同点に追いついた全北現代が延長戦で逆転弾含む2ゴールを決めて3-1で勝利。全北現代は最後にACLを優勝した2016年大会以来、6年ぶりのベスト4進出が決定した。
「飯野七聖選手や大迫勇也選手など、神戸についてはすべての選手を分析していました。どの選手が出てくるとしてもしっかり対応できるよう、準備はできていました」
試合後にミックスゾーンで取材に応じたキム・ジンス。かつて2012~2014年にアルビレックス新潟でプレーした経験から流暢な日本語で日本の報道陣に対応していたが、そこで特に質問が飛んだのが神戸が後半開始から投入した飯野七聖とのマッチアップについてだ。
「飯野選手に一度DFラインの背後に抜け出されて、GKの飛び出しで防いだ場面がありました。スピードのある選手なので、じっと構えて守るのか挑戦して守るのかを瞬間瞬間で判断してプレーしました。スピードに乗らせないことを意識したので、相手も困ったんじゃないかと思います」
飯野はキム・ジンスが新潟に在籍していた当時、同クラブのユースでプレーしていたこともあり、準々決勝の前日会見では「成長した姿、あの頃とは違うというところを見せたい」と言及していた。
キム・ジンス自身は飯野のことを「正直覚えていなかった」というが、「今回試合をしてみて、すごく良い選手だと思いました」と敵ながら称賛。また、自身と同じ元新潟の酒井高徳が出場していたことにも触れ、「新潟出身の選手が2人先発でプレーして、飯野選手も途中から出場して。本当に幸せですね。多くの新潟サポーターさんにも応援していただいて、“本当にありがとうございます”と言いたいです」と笑顔で伝えた。
全北現代は来る25日、埼玉スタジアムで行われる準決勝で浦和レッズと激突する。両チームの対戦は2019年大会のグループステージ以来であり、当時は全北現代がホーム&アウェーともに勝利。2試合どちらも出場経験のあるキム・ジンスは、去る18日に行われた1回戦の試合後、「埼玉スタジアムには良い思い出がある」と明かしている。
「埼玉スタジアムはとても雰囲気が素晴らしかったと記憶しています。2019年のACLで浦和と対戦したときも埼玉スタジアムでプレーしましたし、当時は僕らが勝利したので、あのスタジアムには良い思い出があります」
昨季ACLでは準々決勝で同国のライバル蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)に延長戦で敗れ涙をのんだ。そのベスト8の壁を乗り越えた今季は、ベスト4で浦和と因縁の“日韓対決”を戦うことになった。
「昨季はベスト8で敗れて本当に残念でした。でも今季はベスト4まで進みましたし、まだ1試合残っているので最後まで頑張ります」
はたして、キム・ジンスは“完全アウェー”とも言える埼スタでチームの勝利に貢献することができるか。準決勝では全北現代の左サイドバックに要注目だ。
(取材・文=姜 亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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