「単刀直入に言う。外国籍選手枠の制限は撤廃すべきだ」
韓国では9月4日、ソウル新門路(シンムンロ)のサッカー会館で2025-2026シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する4クラブ(蔚山HD FC、江原FC、FCソウル、浦項スティーラーズ)の監督によるメディアデーが行われた。
この場で、蔚山(ウルサン)率いるシン・テヨン監督が、アジアの舞台で苦戦が続くKリーグ勢の現状を鋭く指摘した。
かつてはアジアを席巻した韓国勢だが、近年は不振にあえいでいる。昨季のACLエリート(ACLE)では市民クラブの光州(クァンジュ)FCが韓国勢で唯一ベスト8まで進出したが、準々決勝でサウジアラビアのアル・ヒラルに0-7で大敗し、“格の違い”を痛感させられた。
蔚山と浦項(ポハン)に至ってはリーグフェーズで敗退。ACL2では全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースが準々決勝で敗れた。
また、Kリーグ3連覇中の王者・蔚山は6月にクラブワールドカップに出場したが、3戦全敗でグループステージ敗退という屈辱を味わった。
もっとも、こうした事態は予想されたことだ。潤沢なオイルマネーを持つ中東クラブだけでなく、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)といった東南アジアのビッグクラブも、巨額の投資で大物外国籍選手を獲得し、“脱アジア級”の戦力を築いている。
一方、Kリーグは外国籍選手枠に厳しい制限が設けられていることもあり、徐々に国際競争力を失い、「井の中の蛙」状態に陥っているとの批判が続いてきた。
現在のKリーグ1では外国籍選手を6人まで登録可能、4人まで同時出場可能と定められているが、この制限すらも撤廃し、資金力のあるクラブには自由に外国籍選手を獲得させるべきだという意見が高まっている。
シン・テヨン監督は「ジョホールは(先発11人を)スペイン人主体で組んでいるし、サウジではACL用のメンバーとリーグ用のメンバーを分けている。リーグ戦で外国籍選手の起用を4人までとするのは構わないが、ACLに出場するチームに対しては制限を解除してほしい。財政的に厳しいクラブはそれに合わせて活用するだろうし、上位クラブとのビジネス関係も形成できる」と訴えた。
ただし、リーグの産業構造そのものが異なる以上、段階的なアプローチが必要だという見方もある。実際、クラブによってスカウトシステムの差が大きく、外国籍選手枠を完全に自由化してしまえば、新たな問題が生じる可能性もある。
2021年から2023年まで韓国プロサッカー連盟で技術委員長を務め、昨季より浦項を率いるパク・テハ監督は「技術委員長時代にこの問題を考えたことがあるが、Kリーグは産業規模と比べてパイを広げられる状況ではない」と冷静に語った。
またシン・テヨン監督は、韓国勢がリーグ後半戦の順位争いとACLを並行する関係上、主力と控えを分けた二元化戦略を採ることについても、「(ベストメンバーで)戦っても難しいのに、分けてしまえば意味がない。経験を積むために出場する?それはお金の無駄だ」と強い口調で批判した。
話題は自然と、Kリーグの「秋春制」移行問題にも及んだ。FCソウルのキム・ギドン監督は「欧州に続きアジアも秋春制に移行しつつある。日本が試験的に進めているが、韓国はインフラ整備が整ってから議論すべきではないか」と慎重な姿勢を示した。
韓国北東部の江原道(カンウォンド)を本拠地とし、厳冬期に弱い環境を抱える江原FCを率いるチョン・ギョンホ監督も、「韓国は真夏と真冬に弱い。地形や気候に応じて柔軟に対応しなければならない」と、Kリーグの事情に即した秋春制ロードマップの必要性を強調していた。
なお、ACLE勢は9月16日にFCソウルがアウェイでFC町田ゼルビア、江原がホームで上海申花、17日に蔚山がホームで成都蓉城と対戦。ACL2を戦う浦項はBGパトゥム・ユナイテッド、カヤFCイロイロ、タンピネス・ローバースと同じグループHに入り、18日にアウェイでパトゥムとの初戦に臨む。
前へ
次へ