「“蔚山現代は優勝に対して本当に切実なんだ”とジュニオールが言っていたんだ」
今や不動のストライカーだ。期待以上のパフォーマンスで蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)の悩みを解消するとともに、替えの効かない存在となっている。
かつてガイナーレ鳥取、アルビレックス新潟、浦和レッズに在籍したブラジル人FWレオナルド(24)の話だ。
彼はかつて蔚山現代に在籍し、2020年にKリーグ1(1部)得点王に輝くとともに、チームをアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)優勝に導いた同郷のFWジュニオール・ネグラン(35、長春亜泰)との縁を語った。
そして、蔚山現代が待ち望む17年ぶりのリーグ優勝に力を貸す考えを明らかにした。
レオナルドは5月19日、本紙『スポーツソウル』とのインタビューで、「ジュニオールは僕が蔚山現代に移籍するという知らせを聞いて、たくさんのエールを送ってくれた」と話した。
2人は昨年、レオナルドが浦和から山東泰山、ジュニオールが蔚山現代から長春亜泰に移籍したことで、中国スーパーリーグの舞台で会った。ともにブラジル出身ということもあって親交を深めていたのだ。
そんななか、“第2のジュニオール”を探していた蔚山現代に、今季レオナルドが新外国人選手として合流することになった。
「ジュニオールは“蔚山現代が長い間(Kリーグで)優勝できず、切実な思いを持っている”と話してくれた。そのような目標に自分が貢献できるという思いで嬉しくなったんだ」とレオナルドは言う。
レオナルドはインタビュー前日の18日、ホームの蔚山文殊サッカー競技場で行われたKリーグ1第13節の済州(チェジュ)ユナイテッド戦で、後半ロスタイムにFWオム・ウォンサン(23)の決勝ゴールをアシストした。
DFキム・ヨングォン(32)の浮き球パスにFWユン・イルロク(30)が抜け出すと、頭でつないだボールをレオナルドも頭で後方に逸らし、走り込んだオム・ウォンサンのゴールを引き出した。レオナルドにとってはKリーグ初のアシストとなった。
レオナルドは8日の第11節江原(カンウォン)FC戦で2ゴール、14日の第12節仁川(インチョン)ユナイテッドで1ゴール、そして今回の済州戦で1アシストと、3試合連続でスコアポイント(ゴール+アシスト)を積み上げている。通算成績ではリーグ戦11試合6ゴール1アシストだ。
スコアポイントの“純度”そのものも優れている。
レオナルドは全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースとの“現代家ダービー”、浦項(ポハン)スティーラースとの“東海岸ダービー”など、伝統的なライバルチームとの対戦で貴重な決勝ゴールを決めてきた。
1-2とリードを許していた仁川戦も、後半25分に同点となるゴールを決め、チームを敗北の危機から救った。今季の蔚山現代は、レオナルドがスコアポイントを記録した6試合で5勝1分と無敗を貫いている。
レオナルドは鳥取時代のJ3リーグ、新潟時代のJ2リーグで得点王に輝き、浦和でもチーム得点王の活躍を見せた。ただ、中国ではシーズン前半に山東泰山、後半にレンタル移籍で河北FCでプレーするも、目立った活躍は見せられなかった。
「中国では僕が得意とする9番ではなく、シャドーストライカーとしてプレーした。ゴールエリアの外でたくさん動き回らなければならず、僕のスタイルと距離が遠かった」と、レオナルドは中国時代を振り返った。
中国で悔しい思いをしたレオナルドは今シーズン、蔚山現代へのレンタル移籍を通じて巻き返しを図ろうとしている。
開幕後に加入のリリースが発表され、韓国入国後には隔離も経験したが、チーム合流直後にはプロフィール上の体重(70kg)と大差がないほど、個人で徹底的なトレーニングを積んでいた。その甲斐あり、蔚山現代、そしてKリーグに即座にフィットすることができた。
河北FC在籍時、チームを率いていた韓国出身のキム・ジョンブ監督から韓国サッカーについて聞いていたこともレオナルドの助けになった。キム・ジョンブ監督はかつてKリーグで慶南(キョンナム)FCを率い、日本人MF邦本宜裕(24、全北現代モータース)も指導した指揮官だ。
レオナルドは「日本がボール保持と戦略に重点を置くのであれば、韓国はもう少し攻撃的で戦術的で、集中力が強い方」と、日韓サッカーの違いを語った。
それとともに、「ホン・ミョンボ監督をはじめ、チームメイトが自分のサッカースタイルでチームに寄与できるよう導いてくれた。そのおかげで早く適応できた」と、指揮官や同僚に感謝を伝えた。
レオナルドは現在、9歳年上の妻と2人の子ども(息子、娘)とともに蔚山で不便なく生活している。このことも、レオナルドにとっては大きなモチベーションだ。
「妻はサントスでプレーしていたときに会った。僕の支えとなる存在だ。それに父親の話もしたい。僕が韓国に行った後も、試合前と後で電話をする。とても力になるんだ。僕にとって愛する家族は選手生活の大きな力になる」と、韓国で活躍する原動力を伝えていた。
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