いよいよ開幕の日が迫ってきた東京五輪。前回リオデジャネイロ五輪に続き正式種目として行われるゴルフは、男女ともに世界ランキングを基にしたオリンピックゴルフランキング(OGR)で出場選手が決まり、日本女子は世界ランキング11位の畑岡奈紗、27位の稲見萌寧が東京五輪に出場することになったが、韓国では世界ランク14位につけても東京五輪への出場に手が届かなった選手がいる。
パク・ミンジがそのひとだ。日本ではまだあまり知られていない選手だが、1998年9月生まれで、日本の女子ゴルフ黄金世代たちと同世代になる彼女は今、「韓国国内で最も強い女子プロゴルファー」と言われている。
今年でプロ5年目となるパク・ミンジは4月の「ネクセン・セイントナインマスターズ」で今季初優勝を果たすと、5月には2勝、6月にも2勝を達成。そのうちのひとつは国内メジャー大会のひとつである「韓国女子オープン」だった。
そして、7月9日から11日にかけて行われた「DAEBO hausDオープン」でも優勝。同大会はアン・シネもエントリーしたことで日本でも記事になっていたが、韓国で多く記事化されたのはパク・ミンジのほうだった。
何しろすでにシーズン6勝。KLPGAツアーは先週7月11日時点で13大会が行われているが、その半分近くを制したことになる。パク・ミンジは13大会中11大会に出場して6回優勝なので、勝率にすると5割(54.5%)を超えるのだ。
今年初めは41位だった世界ランキングも更新の度にランクアップ。7月13日(日本時間)に発表された女子ゴルフ世界ランキングでは、一気に4ランクアップの14位に浮上した。
ただ、東京五輪には出場しない。ゴルフは世界ランキング上位15位までに入っていれば1カ国最大4名までが出場可能だが、6月29日発表の世界ランクで韓国はコ・ジンヨン(2位)、パク・インビ(3位)、キム・セヨン(4位)、キム・ヒョージュ(6位)の出場が内定。パク・ミンジは東京五輪出場には届かなかった。
それでも「東京がダメでも2024年パリ五輪を目指します。出場できれば光栄ですし、金メダルを目指したい」と気持ちを切り替えるパク・ミンジ。
ちなみに彼女の母親はハンドボール韓国代表で、1984年ロサンゼルス五輪では銀メダルも手にしたオリンピアン。
その母の勧めで小学5年生の頃からゴルフを始め、2016年にはアマチュア韓国代表として「世界女子アマチュアゴルフチーム選手権」にも出場して優勝も経験している。つまり、アマチュア時代からのエリートで今日の成功は予見できたという者も少なくない。
それだけに期待されるのは、シーズン最多勝とシーズン最多獲得賞金の更新だろう。
KLPGAツアーの1シーズンの歴代最多優勝回数は、2007年に申ジエが打ち立てた9勝。歴代最多獲得賞金は2016年にパク・ソンヒョンが稼いだ13億3309万ウォン(約1億3330万円)となっている。
オリンピックはお預けとなったが、すでに2か月以上も早い史上最速スピードでシーズン6勝、獲得賞金11億ウォン突破を成し遂げているだけに、今の調子を維持できれば最多勝と最多獲得賞金記録のダブル更新も夢ではなさそうだ。
なお、韓国代表として東京五輪に出場するコ・ジンヨン、パク・インビ、キム・セヨン、キム・ヒョージュの4人は7月31日に日本に入国予定とのこと。取材に応じてくれた韓国ゴルフ協会によると、4人はいずれもPGAツアーでコンビを組むアメリカ人キャディとともに大会に挑みたいとしているらしい。
2大会連続で女子ゴルフ韓国代表を率いるパク・セリ監督も選手たちへの全面バックアップを公言している。韓国女子ゴルフが日本勢の前に大きく立ちはだかるライバルになることは間違いなさそうだ。
(文=慎 武宏)
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