欧州のプロサッカーチームに入団させることを口実に、当時学生だったサッカー選手の親から7000万ウォン(日本円=約700万円)を騙し取り、1審で法廷拘束された元プロサッカー選手のト・ファソン(40)が、控訴審でも実刑を言い渡された。
5月25日、仁川(インチョン)地裁刑事控訴2部(イ・ヒョンソク部長判事)は詐欺容疑で起訴されたト・ファソンの控訴を棄却し、1審と同じ懲役1年6カ月を言い渡した。
1審で犯行を否認したト・ファソンは控訴審で容疑を認め、反省文を6回作成し、裁判所に提出した。
しかし、控訴審では1審の刑を維持した。裁判所は「被告人が原審で犯行を否認し、控訴審で(犯行を)認めたことは、量刑を変えるほどの特別な事情とは思えない」とし、「被害者が依然として被告人の厳罰を嘆願している。被告人は原審判決まで被害者に190万ウォン(約19万円)だけを支払い、その後追加の被害金を支給した事実もない」と判決理由を説明した。
ト・ファソンは2017年3月、慶尚南道(キョンサンナムド)梁山(ヤンサン)市のコーヒーショップなどで当時高校1年生だったサッカー選手の父親A氏に「息子をクロアチアのサッカーチームに入団させる」と騙し、入団費用の名目で6000万ウォン(約600万円)を受け取った疑いで在宅起訴された。
また、同氏は「息子が1年に1億ウォン(約1000万円)ずつ、計2年契約でセルビアのプロサッカーチームに入団することになった」とし、父親A氏から成功謝礼金として1500万ウォン(約150万円)を受け取った容疑もあった。
当時、ト・ファソンはA氏の息子をフィリピンに送り、高校の卒業証書を取らせるとして200万ウォン(約20万円)を、日本でサッカー観戦をさせるとしてさらに200万ウォンを受け取った。
A氏の息子はト・ファソンの言葉に騙されて通った高校を自主退学した後、2017年5月にクロアチアに出国したが、1カ月余りで韓国に帰国。クロアチア在住期間もト・ファソンの支援を受けられず、自費で食事を買わなければならなかった。
このため、1審で裁判所は「被害者の息子は結局サッカー選手を諦め、現在も精神的苦痛を受けている」とし、ト・ファソンに実刑判決を下し、法廷で拘束していた。
一方、ト・ファソンはすでに仲介業者(エージェント)詐欺の疑いで裁判にかけられ、昨年2月に罰金300万ウォン(約30万円)を言い渡された経緯がある。
同氏は2018年10月、京畿道(キョンギド)光明(クァンミョン)市のコーヒーショップで類似の手法を用い、また別のサッカー選手の親から1000万ウォン(約100万円)を騙し取った疑いで起訴されていた。
ト・ファソンは去る2003年にKリーグの釜山(プサン)アイコンズ(現・釜山アイパーク)でプロデビュー。2009シーズン前に仁川(インチョン)ユナイテッドに移籍したが、2011年に八百長に加担した事実が明らかになり、Kリーグから永久除名処分を受けた。その後、2017年から仁川でエージェントに転身していた。
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