「センターライン」と「マルチロール」。これまでオーバーエイジ枠に求められてきた2つの必須条件に、U-24韓国代表を指揮するキム・ハクボム監督も従うのだろうか。
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東京五輪を控えるU-24韓国代表のオーバーエイジ枠が、国内サッカーファンの間で大きな関心事となっている。
キム監督は来る6月に国内で実施予定の強化試合を通じ、オーバーエイジ枠含む最終エントリー18人の構成を終える計画だ。
先月末に開いた記者会見では、ソン・フンミン(28、トッテナム)やファン・ウィジョ(28、ボルドー)、クォン・チャンフン(26、フライブルク)ら欧州組も含めた11人のオーバーエイジ枠候補を選んだことを明かしていた。
オーバーエイジ枠の選出は慎重に行う必要がある。人選によってはチームの雰囲気に大きな影響を及ぼしかねず、監督がその選手を必要だと考えても、ほかの選手の共感も得なければならないからだ。
もっとも、過去のオーバーエイジ枠を見ると、本大会に連れて行く選手のタイプは類似している。これまでは決定力に優れた経験豊富なゴールゲッターと、守備力に長けたマルチロールな選手がオリンピックで重用されていた。
オリンピックで戦う相手はアジアの舞台よりもさらに強力だ。それだけに、豊富な経験とリーダーシップを備えた選手の存在が重要となる。
それに、本大会に出場できるのはわずか18人のみ。負傷など、大会期間の突然のアクシデントに対処するには、複数のポジションを消化できる能力も求められる。
オーバーエイジ枠が初めて施行された1996年アトランタ五輪では、A代表の看板ストライカーだったFWファン・ソンホン(元セレッソ大阪、柏レイソル)とともに、攻守ともにこなせるMFハ・ソッチュ(元C大阪、ヴィッセル神戸)と万能DFイ・イムセンが選ばれた。
2000年シドニー五輪では、A代表の主力FWキム・ドフン(元神戸)のほか、DFキム・サンシクとDFホン・ミョンボ(元湘南ベルマーレ、柏)が選ばれた。ただ、ホン・ミョンボは大会期間の練習中に負傷したため離脱し、DFカン・チョルが代替招集された。
2004年アテネ五輪では、“マルチロールの代名詞”とも言えるDFユ・サンチョル(元横浜F・マリノス、柏)とDFソン・ジョングク、そしてMFキム・ナミル(元神戸、京都サンガF.C.)が選ばれた。しかし、当時も負傷などのアクシデントにより、本大会にはユ・サンチョルとFWチョン・ギョンホの2人がオーバーエイジ枠で出場していた。
続く2008年北京五輪ではMFキム・ジョンウ(元名古屋グランパス)とDFキム・ドンジンが選ばれ、歴代最高成績の銅メダルを獲得した2012年ロンドン五輪ではFWパク・チュヨン、DFキム・チャンス(元柏)、GKチョン・ソンリョン(現川崎フロンターレ)が選ばれていた。
シン・テヨン監督率いる2016年リオ五輪では、DFチャン・ヒョンス(元FC東京)とともに初めてFW2人(ソン・フンミン、ソク・ヒョンジュン)が選ばれた。
ただ、シン監督は元々FWにソン・フンミンだけを選び、残り2人はチャン・ヒョンスと当時アウクスブルクに所属していたDFホン・ジョンホを選ぶ予定だったという。しかし、アウクスブルクがホン・ジョンホの派遣を拒否したことで、代わりにソク・ヒョンジュンが本大会に出場していた。
キム監督は、2018年のジャカルタ・アジア大会でソン・フンミン、ファン・ウィジョ、GKチョ・ヒョヌ(29、蔚山現代)をオーバーエイジ枠に選んだ。多くの専門家は、キム監督が今回のオリンピックでも前線と後方にオーバーエイジ枠を使うものと予想している。
中盤にはMFイ・ガンイン(20、バレンシア)やMFペク・スンホ(24、全北現代モータース)と欧州での経験が豊富な選手のみならず、MFイ・ドンジュン(24、蔚山現代)や元アビスパ福岡MFウォン・ドゥジェ(23、蔚山現代)など、A代表に選ばれている実力者が多い。
とある専門家は「オリンピックで対峙する守備はアジアとは違うため、国際的な競争力を持つワントップが必須。そのため、フォワードを選出する可能性は高い」とし、「残りはサイドバックとセンターバックどちらもこなせる守備陣の選出が有力だ」と予想した。
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