社会的距離は保たれず、マスクを外して食事をする観客もいた。ずさんだった“日韓戦”を見ると、Kリーグがどれだけ隙なく防疫を実施しているかがわかった。
3月25日に日産スタジアムで行われた日本代表と韓国代表の国際親善試合において、韓国における最大の関心事は“防疫状態”だった。
ソン・フンミンなど多数の海外組が不在で“2軍”状態だった韓国の劣勢は十分に予想できたため、試合前から「選手たちが健康な状態で帰ってくることが重要」という意見が多数を占めていた。
日本サッカー協会は韓国サッカー協会に徹底的な防疫プロセスを確約していた。ところが、中継画面に映った様子だけを見ると、韓国、特にKリーグの防疫指針と比べてめちゃくちゃだった。
72327席を持つ大型スタジアムにもかかわらず、2階席は空けておいて、中央側に観客を集めていること自体が疑問だった。
がらんとしたスペースがあるにもかかわらず、あえて観客をほとんど同じ区域に収容した。スタジアム外の案内板では社会的距離の確保が呼びかけられていたが、実際にはほとんど行われていなかったものと見られる。
さらに深刻なのは、マスクを着用していない観客を簡単に見つけられたことだ。中継画面では特に、新型コロナウイルス感染症の脆弱階層に分類される子どもたちが、マスクをせずに試合を観戦する姿が映っていた。
そのうえ、マスクを外して食事をする観客もいた。中継画面上では、観客の食事行為を注意するような係員はいなかった。発声応援を禁止するなどの事前案内もあったが、ところどころに防疫規則を破る観客がいた。
韓国では、日本は新型コロナの防疫がずさんな国だという評価を受けている。流行初期には大混乱に陥り、現在も3月26日には1日の感染者数1977人を記録した。新型コロナ検査も韓国に比べて少なく実施しているにもかかわらず、依然として拡散傾向が収まっていない。
しかも、“日韓戦”の試合前には日本代表のコーチに陽性判定が出た。それより前には、Jリーグのガンバ大阪でクラスターも発生した。日本サッカー協会はJリーグの防疫規則に従って今回の試合を準備するとしていたが、最初の時点で韓国と比べて危険な環境だった。
幸い、まだ今回の韓国代表から感染者は出ていない。選手は26日の帰国後に実施した検査で陰性と診断され、坡州(パジュ)のサッカー国家代表トレーニングセンター(NFC)でコホート隔離(集団隔離)に突入した。
ひとまず落ち着いたとはいえ、「感染リスクのある場に選手を押し込んだ」という批判が存在するのも事実だ。スタジアムでの観客統制は韓国サッカー協会の管轄外であるため、日本側の能力を全面的に信じなければならないが、結果的に防疫が正常に行われなかったからだ。
今回の“日韓戦”を通じて、Kリーグの防疫体制の優秀さを再び確認することができた。
Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟は昨年、新型コロナによってシーズン開幕が延期された後、徹底したマニュアルを確立してリーグを運営した。序盤こそ試行錯誤を経験したものの、今は水の漏れる暇もないような防疫で観客の入場を許容し、シーズンを進めている。
連盟が主導的にマニュアルを作成し、構成員も積極的に協力したおかげで、昨シーズンのKリーグ2(2部)で感染者が1人出たことを除けば、大きなトラブルはなかった。
防疫面でKリーグが日本よりもはるかに優れていることを確認できた“日韓戦”だった。
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