新型コロナウイルス感染症が移籍市場の風景を大きく変化させている。
【インタビュー】ク・ソンユンは“札幌愛”を忘れない。「本当にありがたいチーム」
獲得に困難を要する外国人選手に代わり、海外でプレーする韓国人選手が続々と帰ってきているのだ。
6月も上旬を過ぎて早々、Kリーグの夏の移籍市場が活気にあふれている。
韓国プロサッカー連盟の選手登録が可能となる6月22日までは、まだ10日以上も残っている。にもかかわらず、獲得のニュースが相次いて流れてきている。
全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースはシン・ヒョンミンと契約し、城南(ソンナム)FCはナ・サンホをレンタル移籍で迎え入れた。
シン・ヒョンミンは当初、中国スーパーリーグの北京人和への移籍が決まりかけていたが、新型コロナ感染拡大を受けて中国が外国人の入国を認めなかったため、契約が実現しなかった。
昨年、再契約交渉の過程で意見が合わず決別したシン・ヒョンミンと全北現代は、両者の思惑が一致したことで再び手を取り合うことになった。
FC東京のナ・サンホも、昨冬からKリーグへの“Uターン”を模索していた。元々は地方クラブと交渉を進めていたが、話が円満に進まなかったため、レンタルの条件で城南に加入することになった。ほかにも、北海道コンサドーレ札幌のク・ソンユンが、兵役義務の兼ね合いで大邱(テグ)FCへと移籍している。
昨夏からオーストラリアAリーグのパース・グローリーFCでプレーしていたキム・スボムも、江原(カンウォン)FCへの移籍を決断した。
Aリーグは今年3月からシーズンが中断されており、キム・スボムも家族と安定した生活を送るべく、母国復帰を決めた。江原側も、ちょうどビルドアップに長けた守備の選手を探していたところだった。
2部リーグでも選手獲得の動きは活発だ。
サイドバックの補強が求められていた大田(テジョン)ハナシチズンも、ドイツ2部のホルシュタイン・キールに所属していたソ・ヨンジェの獲得が近い。
ソ・ヨンジェはドイツ生活にピリオドを打つためにKリーグの複数のチームと接触した。1部からもいくつかオファーがあったが、一番良い条件を提示した大田のユニホームを着ることに決めた。母国でのプレー経験が少ないソ・ヨンジェとしては負担も少ないだろう。
タイのブリーラム・ユナイテッドと契約を解除したチョン・ジェヨンは、水原(スウォン)FCのユニホームを着る。
彼は今年4月、新型コロナによって生じたチーム事情のためブリーラムと決別。以降、Kリーグ復帰のため多くのチームと交渉し、2部リーグでは水原FCと慶南(キョンナム)FCが獲得競争を繰り広げたが、最後はチョン・ジェヨン本人の選択で行き先が決まった。
例年になく海外組の選手が一挙に復帰してくる現象は偶然とは言えない。
各チームは、新型コロナの影響で外国人選手の獲得を事実上放棄した状態だ。現地で直接パフォーマンスを観察すること自体が不可能であり、また各国の事情によって出入国が統制されていることも影響を及ぼしている。
実際、全北現代が獲得を望むモドゥ・バーロウは、母国ガンビアの事情により登録期限内に韓国に入国することが難しいという内部観測も出ている。
欧州リーグ所属選手の場合はまだシーズンが終わっていないため、直ちに合流することが困難な点も問題だ。
試合数が縮小された今シーズンは、残り22試合となっている。最大限早期に合流しても足りない状況で、遅れて加入して適応に時間を要せば、たったの数試合しか出場できないリスクも背負わなければならない。
こうしたリスクを避けるため、ある程度実力が保証された海外組を迎え入れて戦力を補強する雰囲気が形成されている。
海外組も各国によって異なる事情で生活するにも容易ではないことから、クラブと選手の利害関係が一致した。
とある移籍市場関係者は「クラブと選手双方にとってWin-Winな移籍とみられる。クラブはただちに戦力を求め、選手は安全で過ごしやすいKリーグでプレーできるからだ」と説明した。
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