京都国際高校野球部3期の荒木治丞(ファンモク・チスン/39)が、「夏の甲子園」で優勝した母校の後輩たちに心のこもった手紙を送った。
荒木は京都国際の前身「京都韓国学園」を卒業後、亜細亜大学に進学し、社会人野球のセガサミー、韓国独立球団の高陽(コヤン)ワンダーズを経て、2014~2017年に韓国プロ野球KBOリーグのLGツインズでプレーした。
LGでは在籍4年間でユーティリティ内野手として活躍し、韓国の野球ファンに深い印象を残した。現役は2017年限りで退き、現在は京都で教育関連事業に携わる。
荒木は創部史上初の甲子園優勝を成し遂げた京都国際の後輩たちに、まずは感謝の気持ちを表した。
「本当に大変だったと思いますが、感謝しています。私たちの世代では夢にも思わなかった舞台に出場し、優勝までしました。私があえて言うのも変ですが、本当にありがたいです」
続けて、後輩たちの野球人生がこれからも続くことを願い、「甲子園の試合はプロ野球のスカウトたちが注意深く見ています。後輩たちにはたくさんプロに行ってほしいです。プロにならなくても、良い大学や実業団チームに行けます。社会人リーグや独立球団もあります」とエールを送った。
しかし、プロの敷居は高い。例え仲間とともに汗を流し、甲子園の頂点に立ったとしても、全員が望むところに行くことはできない。社会人野球、独立球団を経て韓国で育成選手からプロ生活をスタートさせた荒木も苦労を経験した一人だ。
「プロ野球選手として成功すればもちろん良いですが、全員がそのために野球をするわけではありません。ただ野球が好きでやっている選手がいるし、甲子園に出たくてやっている選手もいます。大学を目標にする選手もいます」と荒木。プロ入りがすべてではなく、選手一人ひとりにそれぞれ野球をする理由があるという説明だ。
だからこそ、荒木は今回勝ち取った甲子園優勝の価値を強調した。
「今は後輩たちが『野球がすべて』と考えることができるでしょう。ただ、野球が人生の重要な部分であることは事実ですが、すべてではありません。人生全体で見れば、野球をする日よりもしない日がもっと長い。野球をするときは集中し、全力を出し切れば、終わって見ればそれが良い思い出になります」
そして、「これから良いこと、悪いことが繰り返されると思いますが、後輩たちは甲子園で勝ち続け、優勝まで成し遂げました。そのことを考え、大変な日が来ても耐え抜き、良い道を進むことを願っています。諦めたい気持ちになるたびに、最後まで諦めずトップに立った甲子園のことを考えながら、我慢して、耐え抜いてほしいです」とエールを送った。
野球人生には成功だけがあるわけではない。その道のりで幾多の挫折と難関に直面するものだ。それは野球に限らず、別の道を選んだとしても同じだ。
荒木は後輩たちに向けて、例えどんなに苦しいことがあろうとも、そのときは2024年の夏を思い出し、前進し続けることを願うという気持ちを届けた。
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