梨水(イス)駅で起きた暴行事件を通じて、韓国社会の素顔が明らかになった。女性嫌悪と男性嫌悪という両極端な対立構造が如実に表れた。
11月15日、ソウル銅雀(トンジャク)警察署によると、A(21)氏ら男性3人と、B(23)氏ら女性2人の計5人が暴行の疑いで書類送検された。彼らは去る11月13日午前4時頃、地下鉄7号線・梨水駅近くの居酒屋で互いに暴行した疑いを受けている。
本格的な被疑者調査の前から、ネット上では男性を一方的な加害者と非難し、“女性嫌悪犯罪”と断定する世論が作られていった。被害者と主張した女性が「骨が見えるほど暴行を受けて入院しているのに、被疑者の身分になった」というタイトルの文章を上げると、議論はさらに大きくなった。韓国大統領府の国民請願を介して、A氏ら男性を厳重処罰しなければならないという意見に賛同する署名が30万人も集まった。
しかしそんな意見に前面から反論する側は、喧嘩の発端を作ったのはB氏ら女性だと主張した。その主張によれば、B氏一行がお酒を飲んでいたカップルを男性嫌悪サイトで使用されているスラングで皮肉ったという。そのときA氏ら男性が「騒ぎを起こさないで」と言うと、B氏側が男性を撮影したことで騒動が大きくなったそうだ。
今回の事件が単なる酔っ払い同士の暴行ではなく、ジェンダー問題に発展し、社会問題として大きく注目されている。数年前から韓国社会は、ネット上を中心に、男女間の葛藤が深刻化。一日に30万人が署名した今回の事件をはじめ、“性差別”を主張しながら男女間の尖鋭な対立が生まれている。
そんななか事件を捜査しているソウル銅雀警察署は11月16日、居酒屋内の映像と関係者参考人調査などを行った結果、B氏ら女性側が先に喧嘩を引き起こしたと発表した。
警察によると事件当時、両者の間で口喧嘩が起こると、女性1人が男性側のテーブルに向かっていき、男性1人の手を叩いたという。それに対して他の男性がその女性の帽子のつばを払った。その後に互いに争いが始まり、男性たちが居酒屋の外に出ると、女性たちもついていったそうだ。
警察は女性が先に男性に手を出したことで喧嘩が始まったが、その行為が暴行であるかどうかは、総合的に判断する必要があると付け加えている。
単純な暴行事件を超え、世論の関心が集中しているセンシティブな事件であるだけに、公平な捜査でノイズのない真実が明らかになることを願うばかりだ。
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