“元祖韓流フード”と言われる韓国インスタントラーメンの2021年上半期の輸出額が、史上最大値を記録した。これは新型コロナ発生後、世界的に“自炊”が増えたためと分析されている。
7月26日、韓国関税庁によると、2021年上半期のラーメン輸出額は計3億1968万ドル(約300億円)で、昨年同期より5.8%増加した。これまでの最大値であった2020年上半期の3億208万ドルを、再び更新することとなった。
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国別にラーメン輸出額を見ると、中国が6813万ドル(約68億円)で最多に。続いてアメリカ(3730万ドル=約37億円)、日本(3302万ドル=約33億円)、台湾(1621万ドル=約16億円)、フィリピン(1205万ドル=約12億円)、マレーシア(1167万ドル=約11億円)、オーストラリア(1160万ドル=約11億円)、タイ(1126万ドル=約11億円)、オランダ(1063万ドル=約10億円)の順となった。
輸出総額は増加したにもかかわらず、最大の輸出国である中国の場合は、上半期の輸出額が昨年同期より15.8%減少している。中国のほか、アメリカ、オーストラリアといった国々で韓国ラーメンの人気がさらに増加したため、輸出額が増加したと業界は分析している。
ラーメン業界は、海外事業部門の充実化に力を入れる方針だという。辛ラーメンで知られる韓国の食品企業「農心(ノンシム)」は、2021年1~3月期に1733億ウォン(約173億円)もの海外売り上げを記録。前年同期比(1677億ウォン=約167億円)よりも3.3%増加した。
農心は2021年末、アメリカ第2工場の完成を控えている状況だ。第2工場は、袋麺の製造ライン1つと、カップ麺のライン2つが優先的に設置されるそうだ。全て高速生産が可能なラインで、年間約3億5000万個のラーメンを追加で生産できる設備となる。既存の第1工場の生産量を合わせると、年間生産量は計8億5000万個にも達する。
農心のシン・ドンウォン会長は、「グローバルラーメン企業5位という今の成績に満足してはならない。生産とマーケティングシステムを、世界トップクラスに再整備してほしい」と呼びかけた。
また激辛のプルダックポックンミョンで知られる「三養(サミャン)食品」は今年、特定地域やブランドに集中している売上構造を改善する方針だ。2015年は100億ウォン(約10億円)に過ぎなかったプルダックシリーズの輸出額は、2020年は3000億ウォン(約300億円)を突破し、輸出国も85カ国へと拡大。プルダックシリーズの人気に伴い、2017年には輸出1億ドル(約100億円)、2018年には輸出2億ドル(約200億円)を達成しており、2021年は輸出3億ドル(約00億円)の達成が予想されている。
三養食品の最大輸出地域である中国では、戦略的な販売品目拡大を行うそうだ。現地市場で堅実な需要を確保しているプルダックブランドを基盤に、綿製品以外のプルダックソース、プルダックマヨなど、ソース品目の売上比重を増やす予定となっている。
そしてインド市場への進出も本格化させ、ベジタリアン人口の多い現地市場の特性を考慮したベジタリアンラーメンのラインナップを強化し、流通拠点を拡大していく。
韓国のインスタントラーメン業界は、新型コロナ禍で急激な市場成長を見せいているアメリカを、やがては中国のような主力輸出国へと導く計画だ。
そして日本では、三養ラーメンオリジナルや日本専用パッケージ商品を発売し、売上基盤を整える方針だという。
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