韓国の最低賃金が過去最低の引き上げ率…それでもコンビニ店主たちが大反対するワケ

2020年07月14日 社会

韓国の来年度の最低賃金が今年より1.5%上昇した8720ウォン(約872円)に決定した。

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最低賃金は、すべての事業主がそれ以上の賃金を支給するように強制的に規定し、低賃金労働者を保護する制度だ。最低賃金の水準は労働者の生計だけでなく、経済全般に影響を与える。

最低賃金を審議・議決する最低賃金委員会は7月14日未明、世宗(セジョン)庁舎で第9回総会を開き、来年度の最低賃金を時給基準8720ウォンで議決した。今年の最低賃金(8590ウォン=約859円)よりも1.5%上げ、130ウォン(約13円)高い金額だ。

過去最低の引き上げ率

最低賃金の引き上げ率1.5%は、韓国で最低賃金制度を初めて実施した1988年以来、最も低い水準だ。これまで最低賃金の引き上げ率が最も低かった年は、国際通貨基金(IMF)通貨危機時の1998年の2.7%だった。

最低賃金法に基づいて最低賃金委員会は、この日議決した来年度の最低賃金案を雇用労働部長官に提出することになる。雇用労働部長官は8月5日までに来年度の最低賃金を告示しなければならない。最低賃金が告示されると、2021年1月1日から効力が発生する。

(写真提供=韓国大統領府)文在寅大統領

小商工人連合会と中小企業中央会は残念ながら受け入れるという立場だが、韓国コンビニ店主協議会は、最低賃金の引き上げを強く批判した。

今回の最低賃金引き上げによって、零細自営業者は廃業の岐路に立ち、雇用の減少が避けられないと強調した。

同協議会は立場文を通じて、「誤った賃金政策は年を重ねるごとに、零細自営業者を締め付けている。急激な最低賃金の引き上げは、新型コロナで崖っぷちに立っている自営業者を断崖に突き落とすようなもの」とし、現実を考慮しない最低賃金の決定を受け入れることができないと明らかにした。

コンビニ店主が反発するワケ

韓国コンビニ店主協議会によると、コンビニの平均収益は、売上利益(1446万ウォン=約144万6000円)からロイヤリティ(434万ウォン=約43万4000円)と店舗維持管理費用(923万ウォン=約92万3000円)を差し引いた金額だ。

店舗維持管理費用には、人件費(623万ウォン=約62万3000円)と家賃(150万ウォン=約15万円)、電気代(50万ウォン=約5万円)、その他の費用(100万ウォン=約10万円)が含まれる。

最低賃金の引き上げによって、コンビニの平均収益は98万9600ウォン(約9万9000円)から、9.38%減の89万6800ウォン(約9万円)にとどまると推定される。労働界が掲げる実態生計費(一般家庭が実際に支出する金額を算出した生活費)218万ウォン(約21万8000円)の半分にも満たないという主張だ。

同協議会は「コンビニ店主は週70~80時間、多くは100時間を超える長時間労働で耐えてきた。月給最低賃金182万ウォン(約18万2000円)がうらやましい」と伝えた。

韓国コンビニ店主協議会は、今回の最低賃金の引き上げで今後、雇用の減少が避けられないと主張した。

同協議会は「店主が勤務時間をさらに増やしてアルバイトを減らすか、または営業時間を短縮するしかなく、勤務時間を増やして限界に達した店主は廃業するしかない状況だ。青年層と就職待機者など、脆弱層の短期雇用がさらに減少するしかない。これは予告された手順だ」と述べた。

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