LG電子が23四半期連続の営業赤字の末、“金にならない”モバイル事業の撤退を宣言した。今回の決定は、これまで“選択と集中”を強調してきたグ・グァンモ会長の決断が反映されたという。
LG電子は4月5日、モバイル事業を終了すると公式に発表した。2021年7月31日付けで、MC事業本部の生産及び販売が終了するそうだ。
LG電子の関係者は、「これまで携帯電話事業の方向性について綿密に検討してきた。事業競争の激化、および持続的な業績不振によってモバイル事業からの撤退を決定した」と説明している。
1995年にLG情報通信としてモバイル事業を開始したLGは、「チョコレートフォン」や「PRADA phone」など"攻めた”モデルを発売し、かつては世界シェア3位まで上昇する全盛期も迎えた。
しかし、LGはフィーチャーフォン、いわゆるガラケー中心の事業構造を固持し、スマートフォン時代に一足遅れて対応したため、市場競争で遅れを取り始めていた。
2015年4~6月期から2020年4~6月期まで、23四半期連続で赤字となり、累計赤字規模は5兆ウォン(約5000万円)にも達する。LGは赤字構造改善のため、生産ラインの移転、人材の再配置などあらゆる手を試みたが、黒字への転換は失敗していた。
2021年1月には事業調整計画を明らかにし、売却推進に乗り出したLG。その後、ベトナムのVin Group、ドイツの自動車メーカーVolkswagenなどと接触したが、交渉が決裂したという。
これを受け、部分売却や段階的事業縮小など様々な案が取り沙汰されていたが、最終的には事業からの撤退という今回決断した。
このような果敢な意思決定には、グ会長の実用主義の経営哲学が大きく反映されたというのが業界の評価だ。
グ会長が直近で行った株主総会の挨拶で、「選択と集中戦略に基づいて非核心事業を整備し、主力事業と成長事業の競争力を強化する方向で、事業ポートフォリオを高度化する」と明らかにしていた。
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LGはモバイル事業を終了しても、未来への準備に向けた中核モバイル技術の研究開発は続けるという。
6Gモバイル通信、カメラ、ソフトウェアなど中核モバイル技術は、次世代テレビ、家電、電装部品、ロボットなどにも必要な技術のため、最高技術責任者(CTO)部門を中心に研究開発は持続する計画だ。
特に、LGは2025年頃の標準化以降、2029年の商用化が予想される6Gに対するオリジナル技術の確保に拍車をかける予定だそうだ。
また、3700人に達するMC事業本部職員の雇用も維持するという。このため、社員の職務貿易量やLG電子の他の事業本部、LG系列企業の人材需要などを総合的に考慮し、再配置も行う計画だ。
LGは通信事業者など、取引先と約束した製品を供給できるよう、5月末までは携帯電話の生産を継続する。さらに、購入客や既存のユーザーが不便を感じないよう、事業終了後においても十分なサービスを続ける方針だ。
これに関し、LGはホームページの公示文で、「LG電子は事業終了後も、顧客が製品使用に不便を感じないよう国別基準、法令に従い事後サービス提供、および修理、部品供給に最善を尽くす」と明らかにしている。
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