子ども4人以上で教育費控除50%へ 韓国で「多子世帯優遇税制」法案が発議

2025年06月09日 社会

韓国政府が、深刻な少子化に歯止めをかけるため、本格的に動き出した。

【注目】「韓国は完全に失敗」過去最低の合計出生率

李在明(イ・ジェミョン)大統領が、候補時代に掲げていた公約の一つである多子世帯に有利な税制改正を、具体化する法案が発議された。

6月9日、革新系野党「祖国革新党」のペク・ソニ議員は、子どもの人数に応じて教育費の所得税控除率を最大50%まで段階的に引き上げるという内容の、「所得税法一部改正案」を代表発議したと明らかにした。

現在の韓国の所得税法では、子どもを含む直系卑属・配偶者・兄弟姉妹などの基本控除対象者に対して支出した教育費について、一律15%の税額控除が認められている(大学生は年間最大900万ウォン=約90万円、就学前児童および小・中・高校生は年間最大300万ウォン=約30万円まで)。しかし、こうした制度では子どもが多いほど教育費負担が増えるという実情を反映できていないとの声もあった。

ペク・ソニ議員
(写真=ペク・ソニ議員室)ペク・ソニ議員

そのため今回の法案では、控除率を子どもの人数に応じて段階的に設定。子ども1人の場合は20%、2人で30%、3人で40%、4人以上は50%まで控除率を引き上げるという内容だ。

ペク議員は、「この法案は単なる税制優遇にとどまらず、出産と育児に対する実質的な報酬を提供する、“子育てに優しい税制”への転換を目指す第一歩」と説明し、「多子世帯への掛け声だけでは不十分で、家計が実際に救われるような政策が必要だ」と強調した。

今回の改正案は、韓国社会における「出生率の反転傾向」とも重なり、注目を集めている。2025年1月~3月期の出生数は、前年同期と比べて増加に転じており、歴史的な最低水準にあった出生率の下落に歯止めがかかった。2024年の韓国は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で出生率が最も低い一方、養育費の負担は最も高いという構造的な課題が浮き彫りになっていた。

こうした中で生じた出生率の反転を一過性にせず、持続可能なものとするには、政策の実効性だけでなく、国民が“変化を肌で感じられる”制度的基盤が不可欠だという指摘もある。

ペク議員は、「教育は国家が保障すべき基本的権利であり、その実現にはまず税制構造を変える“正攻法”が必要」として、「今回の法案は、子育てにやさしい社会への大転換に向けた起点」と述べた。また、今後も育児支援に向けた立法活動を継続していく意向を示している。

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