新型コロナウイルスの余波が長期にわたって続くなか、韓国では史上初の“オンライン授業”での始業を控えて、混乱する教師たちが急増している。
現場の声を反映することなくオンライン授業を発表し、教師も生徒も親も、始業を前にどうすればいいのかわからない状態だ。
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チョン・セギュン国務総理は4月2日、中央災害安全対策本部の会議で「オンライン始業が1週間後に迫った。現場の学校では、遠隔授業の準備が真っ只中だ。不足している点も多いだろう。先生たちが授業内容を考える時間が足りないし、子供たちに端末をサポートするのが困難な学校もあるだろう」と述べた。
また「始業後も安定化する段階まで、大小の混乱を避けることができない可能性が高い。学校と先生の負担が大きく、保護者の心配も並大抵なものではないことを理解している」と述べた。
チョン国務総理の発言通り、現場の教師たちは出席から授業まで一切のガイドラインがなく、悩んでいる。まずオンライン授業を受ける動画プラットフォームが規定されていない。
そのためYouTubeのリアルタイムストリーミングをはじめとする動画プラットフォームを教師ごとに任意に選択し、授業の準備をするケースが少なくない。すぐにオンライン授業が可能になると急いで登録しているが、使い方にも慣れず、教師ごとに異なるプラットフォームを使おうとするのでアドバイスを求めるのも容易ではない。
授業用教材を作成することも悩みだ。プレゼンテーション資料を作成し、画面に表示させなければならないが、プレゼンテーション資料の作成が苦手な教師は悩みが大きい。
仁川(インチョン)の小学校教師Aさん(43歳・女性)は、「オンライン授業の準備がまったくできていない状態で、無条件に進行しろというので、プラットフォームはばらばらになるしかない。校長によって、あるいは教師の個人能力に応じて授業や教育に大きな差が出る」と話した。
学校でオンライン授業のための設備を提供していない場合、教師が自腹で機材を購入しなければならない問題も発生している。
音声だけでは授業が難しく、筆記をすることができるタブレットのような製品を慌てて購入する教師もいる。一部の製品は、海外から取り寄せようとするが、新型コロナの影響で発送も遅れている。そもそも動画撮影用のカメラと三脚を購入した教師も少なくない。
著作権の問題も発生する。
教科書を作る出版社ごとに教師への学習教材を提供するのだが、そのうちの一部をオンラインに公開する場合、著作権論争がある可能性があるからだ。教室空間での1回限りの使用は問題がないが、オンライン上にそのまま教材が露出されると、法的な問題が浮き彫りになることもあり、教師が教材を制作しなければならない状況だ。
一部の教室ではYouTubeのライブ授業を行ってみたが、学生たちがその放送に「報告」をしきりに押し、授業が円滑に進行できない場合もあった。
上記のような混乱が起きているため、とある教師が大統領府の国民請願に訴える事態も起きた。
教師と推定される請願人は、「教育部と韓国教育放送公社(EBS)のコラボを通じた全科目の共同コンテンツ制作、各プラットフォーム別サーバーの拡張、教科別の最低限のガイドライン作り」など、現場の混乱を減らすための意見を提案した。
小学校の教師Bさん(38歳・男性)は、「オンライン授業のために関連するプラットフォームに接続すると、アクセスの負荷で遅延が生じたりして、現実的にオンライン授業は難しい。簡単なプロセスでオンライン授業を進行し、後に教室の授業で補強するしかない」と話した。
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