BTSを抱える韓国最大の芸能事務所HYBEがエンターテインメント産業で超格差のリーダーシップを確保するための事業戦略「HYBE 2.0」を公開した。
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8月1日に公開された「HYBE 2.0」は、ファンビジネスモデルをグローバル主要市場に拡大展開し、急速に変化する市場環境に対応する先制的な革新を達成する構想だ。
「HYBE 2.0」を通じて、従来のレーベル、ソリューション、プラットフォームで構成されていたHYBEの3つの事業領域は、音楽、プラットフォーム、そしてテクノロジーに基づく未来成長事業へと再編される。HYBEは中長期的な事業競争力を確保するために、2023年下半期から「HYBE 2.0」戦略を準備してきた。
音楽事業領域では、本質であるコンテンツの品質とファン体験をさらに向上させ、韓国、アメリカ、日本、ラテンアメリカの事業拡張と地域間シナジーの創出を加速させる計画だ。
プラットフォーム事業の中核である「Weverse」は、日本とアメリカを対象にジャンルを拡大し、サービスモデルの高度化を通じてアーティスト活動を活性化させ、ファンにより豊かな体験を提供する。
テクノロジーに基づく未来成長事業領域では、現在インキュベーション中のゲーム事業の本格的な拡張とともに、未来型エンターテインメントに対する先行研究開発(R&D)が推進される予定だ。
具体的に見ていくと、HYBEは音楽事業部門で韓国国内および日本のマルチレーベル事業を統括する「HYBE MUSIC GROUP APAC」を新設する。
「HYBE MUSIC GROUP APAC」は、レーベル事業の成長と革新に必要な戦略とプロセスの強化、リソース投資と音楽サービス機能の高度化に集中する。音楽事業の本質を強化し、グローバル事業の拡張を加速するためだ。
「HYBE MUSIC GROUP APAC」の初代代表は、BIGHIT MUSICのシン・ヨンジェ代表が務めるシン代表は2019年にHYBEの前身であるBig Hitエンターテインメントに入社して以降、様々な戦略、政策、事業モデルの開発を担当してきた。
2020年からはBIGHIT MUSICの代表職を務め、レーベルの組織と機能の高度化を導き、BTSとTOMORROW X TOGETHERがグローバル市場で顕著な成果を上げることに貢献した。
HYBEはアメリカ、日本、ラテンアメリカを中心に、現地の文化と特性を反映した事業を展開し、現地市場での主導的な事業者の地位を確保する「マルチホーム、マルチジャンル(Multi-home, Multi-genre)」戦略を推進中だ。
「HYBE 2.0」では、各市場環境に合わせてK-POPのノウハウを取り入れる方式で事業戦略が具体化される。各市場で主導的な事業者としての地位を確保し、同時に従来K-POPを消費していなかった層にもジャンルの拡張を通じて、HYBEのエコシステムに引き込む方針だ。
世界最大の音楽市場であるアメリカでは、レーベルサービスの立ち上げと現地新人の開発などを重点的に推進する計画だ。
まず、HYBEアメリカ傘下に、アメリカの伝統的なマネジメント事業とHYBEの360ビジネスモデルを組み合わせたレーベルサービスを立ち上げる。レーベルサービスはアーティストの成長曲線を共に設計し、各段階に応じた適切な事業モデルを提供する。HYBEの強みであるアーティストの成長を支援する助力者としての事業モデルを開発し、現地アーティストと単なるレコーディングやマネジメント契約を超え、総合的なサービスを提供する方式でレーベルサービスを運営する計画だ。
またHYBEは、今年デビューしたCats Eyeを皮切りに、アメリカ現地の新人を継続してローンチする計画だ。Cats Eyeは、6月にデビューしたHYBE初のアメリカ現地化グループで、ゲフィン・レコードと協力してアメリカポップジャンルにK-POPの方法論を導入するプロジェクトを通じて誕生した。HYBEはCats Eyeのデビューのために、アメリカ現地にトレーニング、マーケティングおよびプロモーション、A&Rなどアーティスト育成のための様々なインフラを構築した。
今後も構築されたインフラを活用して現地の新人を引き続きローンチする予定だ。
世界第2位の音楽市場である日本では、現地化アーティストの制作とJ-POP市場内のソリューション事業拡大に注力する方針。日本市場でK-POPの成長とJ-POPジャンルにおける存在感を同時に高め、HYBEが日本でも韓国に匹敵する先頭事業者として定着することを最終目標とする。HYBE JAPANは&TEAMに続く、新たな日本現地新人も発表する予定だ。
HYBE JAPANは成長に加速をつけるため、キム・ヨンミン元SMエンターテインメント総括社長をHYBE JAPAN会長に新任する。エンターテインメント業界で代表的な「日本通」として知られるキム会長は、K-POP産業でHYBEが確立した成功法則を日本市場に取り入れ、HYBE JAPANを日本最高のエンターテインメント会社に成長させるという抱負を持っている。
ラテンアメリカ市場を担当するHYBE LATIN AMERICAは現在、メキシコシティに専用スタジオを建設するなど、インフラの構築を進めている。プロデューサーおよびアーティストの獲得と育成も推進している。
HYBE LATIN AMERICAは強力なローカル代表事業者とのパートナーシップを通じて、様々な音楽ベースの事業モデルと技術主導の新事業の展開を迅速に進めていく予定だ。来年からK-POPシステムを導入して制作されるHYBE LATIN AMERICA初のアーティストのデビューを含む、様々な成果が公開されると期待される。
世界最大のスーパーファンプラットフォーム「Weverse」は、今年第4四半期からファンサービスモデルを拡張し、さらに高みを目指す。
まず、サブスクリプション型メンバーシップサービスが第4四半期に開始される。サブスクリプション型メンバーシップは、従来のファンクラブメンバーシップとは別のサービスとして同時に運営され、ファンがWeverseをより便利な環境で利用できるように、向上した機能と一部のファンクラブ利用サービスを連携して提供する。
このサービスはデジタルメンバーシップカード、ボーナスJelly(デジタル財貨)チャージ、広告なしの動画視聴、VODオフライン保存などで構成される。メンバーシップコンテンツの閲覧、イベントへの優先参加なども選択的に含めることができる。Weverseに出店しているアーティストは誰でも希望する時点で、サブスクリプション型メンバーシップサービスを開始して活用できる。
アーティストとファンのコミュニケーションの窓口として愛されている「Weverse DM」は、今年中にHYBEアーティストを含む様々なアーティストたちでサービスが拡大される予定だ。また、今年初めからWeverseの一部領域に限定的に導入された広告を、年内に本格的に適用する。
「HYBE 2.0」のテクノロジー基盤の未来成長事業部門は、エンターテインメント産業環境の変化に伴って発生する新成長領域への戦略的な探索と先取りを担当する。
コンテンツ関連技術の積極的な融合を試み、顧客体験の変化の方向性を予測して、HYBEの中長期新成長動力を確保することが目標だ。
テクノロジー基盤の未来成長事業部門では、HYBE内部で準備してきた様々な新事業の戦略調整と連携作業が進められる。現在、ゲーム事業を含むオーディオ/ボイステクノロジー、生成型AI、オリジナルストーリービジネス、オン/オフライン統合体験設計などが事業モデルの検証およびテストの観点で推進されている。関連領域での会社の未来の方向性と収益性を考慮した新規投資が慎重に進められる計画だ。
HYBEのイ・ジェサン新任CEOは「音楽、プラットフォーム、テクノロジー基盤の未来成長事業育成を柱とするHYBE 2.0を基盤に、HYBEは国内およびグローバル音楽事業を持続的に発展させ、プラットフォーム事業を通じて変化するスーパーファン市場でのリーダーシップを強固にし、テクノロジー基盤の未来成長事業を通じて中長期的成長動力を確保することに注力する」と述べた。
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