「私は1話当たり200万ウォン(約20万円)をもらいますが、10年間同じです」
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これは、韓国芸能界関係者ならば誰しもが知る俳優の言葉だ。
続いて、「上げようとしても制作費がないと下げられます。トップスターたちはずっと上がっているのに、私のような俳優たちはずっと同じ金額をもらっているんです。いくら人気に差があるとは言え、とても悲しいですね」と現在の業界を憂いている。
最近、一部のトップスターの1話当たりの出演料が10億ウォン(約1億円)に達し、製作スタッフの人件費も着実に高まっている。一方で、無名俳優の生活はより厳しいものとなっているのだ。
「光が強ければ影もまた濃い」という言葉があるように、韓国コンテンツが勢いを増せば増すほど末端は大変な時期を過ごしており、役割が少ない俳優ほど“替えが利く”という認識が強化されている。そんな時代に、製作会社が最も簡単に費用を抑える方法が助演、端役の出演料凍結、あるいは引き下げだ。
ある助演俳優Aは15日、本紙『スポーツソウル』の電話インタビューに応じ、「映画であれドラマであれ、出演料を引き続き削減しようとしている。出演料が合わなければ他の俳優を使うと脅し文句を言う。いくら出演時間が短い役でも、撮影期間が数カ月もかかる場合がある。同期間に重複出演をしたくても、(助演、端役は)スケジュールを外してくれないので、それも難しい。1話当たり100万ウォン(約10万)で、20話に出ると1500万ウォン(約150万円)に削ろうとする」と自身が置かれている状況を語った。
芸能関係者によると、所属事務所があり、台詞のある俳優の出演料は、一般的に1話当たり200万ウォンから始まるという。これは、新人ではなく、数年以上のキャリアを持つ俳優の最低出演料という意味だ。
同関係者は、「経験のない新人の場合は“抱き合わせ”で1話当たり50万ウォン(約5万円)を受け取ったり、マネージャーや俳優の能力によって100万ウォンを受け取ったりもする。このようなケースはありがたい。いくらキャリアを積んだ俳優でも、フィルモグラフィーにヒット作がなければ年俸は横ばいだ」と話す。
また、新人ではないにもかかわらず、1話で200万ウォン以下の俳優も多い。台詞経験が多い俳優の中には、1話当たり10万ウォンを受け取る俳優もいる。彼らは撮影回、または出演回のいずれかの方式で契約する。1話当たり50万ウォンを受け取ったり、1話当たり100万ウォンを受け取ったりする過程で契約を誤って結ぶと、10万ウォンまで下がることもある。
名の知られている俳優Bは、「私が知っている他の俳優は、1話当たり50万ウォンを受け取ることにしたが、一週間の間に4回も撮影に呼ばれた。衣装代とガソリン代を使うと、何も残らない。1話当たり12万ウォンを少し超えた」とし、「珍しいことではないが、頻繁はわけでもない」と明らかにした。
無名俳優はより悲惨だ。彼らを保護するスタッフがいない場合、金を踏み倒されることも一度や二度ではない。悪質なキャスティングディレクターにかかり、1話当たり10~20万ウォンの事例もあるという。
前出の俳優Bは、「キャスティングディレクターが俳優を募集するオンライン空間がある。時々お知らせが掲載されるが、1話当たり10万ウォンの時がある。製作費の規模が少ない場合もあるが、キャスティングディレクターが途中で駄々をこねる場合も、まま発生する」として、「そのような作品は選ばないようにしようというが、一つひとつのチャンスが貴重な俳優たちは出演したりもする。彼らとは作品の背景となるエキストラではない。セリフのある俳優のことだ」と吐露した。
韓国芸能界の出演料格差は、少なくとも10万ウォンから最大10億ウォンまで“1万倍”の差があるわけだ。撮影時間が12時間だとすると、最低賃金は11万8320ウォンだ。10万ウォンでは最低賃金にも満たず、地方撮影などでは損をする金額だ。
あるマネジメント会社の関係者は、「韓国大衆文化界の俳優たちの市場を見ると、“小さな政府の終末”を見るようだ。強者独占構造だ。人気がいくら高いとしても、あまりにも大きな富の格差が起きている」として、「この点に対する制度は何もない。俳優たちの良心に依存しなければならない状況だが、各々の欲望が強いため解消することは不可能に近い」と話した。
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