世界的な注目を集める作品もあるが、韓国ドラマが“危機”を迎えている。正確には、韓国のドラマ制作産業が危機なのだ。
韓国ドラマ制作社協会は1月25日、ソウル麻浦区の教会事務室で最近ドラマ制作会社と放送プラットフォーム関係者が集まって懇談会を開き、ドラマ産業の危機問題と解決方法について議論したと明らかにした。
そこで主な問題点として挙げられたのは、俳優の出演料の負担だった。
懇談会に参加した放送局のとある関係者は「主演俳優たちは今や出演料が1話当たり10億ウォン(約1億円)に達するのが現実」とし、「制作会社はそれでもドラマの編成が容易に担保される演技者の要求に合わせて、1話当たり数億ウォンを支払いながら制作するほかはない境遇に置かれた。これが悪循環を生んでいる」と話した。
また、ドラマ制作会社のとある代表は「最近、作品を準備しながら俳優たちのキャスティングを進めたが、1話当たりの出演料を4億ウォン(約4000万円)、6億5000万ウォン(約6500万円)、7億ウォン(約7000万円)で呼んだ」と伝え、「出演料の主導権がNetflixなどのグローバル動画プラットフォームにあることで、困難がある。実際にはメディアで見る金額よりも、はるかに多くの金額を支払っている」と吐露した。
また別のドラマ制作会社の関係者は「キャスティングするとき、私たちとNetflixなどのグローバルOTTプラットフォームの制作費が大きく異なるにもかかわらず、俳優らがその高い基準を私たちにも適用しているようで困惑する。出演料の適正なラインをどう測定すればいいのかよくわからない」と述べた。
つまるところ、ドラマ制作費の大部分を主演俳優の出演料に使わざるを得ない現実のなかで、作品全体の質と完成度が落ちていくしかないという話だ。ドラマ制作現場には先延ばしできない危機感がある。
懇談会では、新しい出演料支給方式の意見として、制作本数と関係なく、期間を基準とする方式も議論された。出演料を「1話当たり」で支払うのではなく、総撮影日数、撮影時間などを基準として支払う方法も検討された。
ただ韓国ドラマ制作社協会は、放送会社とプラットフォームが1話当たり数億ウォンの出演料が必要なスター俳優たちが出演するドラマだけを編成している点についても指摘した。
同協会は「徹底したオーディションを通じて検証された演技者を果敢に起用し、演出と撮影、美術などに制作費を多く割いて、コンテンツの完成度を高めることに注力しなければならない。そのような作品を放送局らが果敢に編成をしてくれる、健康的な環境が至急作られるべきだろう」と強調した。
韓国のドラマ制作産業は現在の危機を乗り越えることができるだろうか。注目したい。
■えげつない“格差”…韓国ドラマの主演と端役、1話当たり出演料に2000倍の開き
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