原作者に猛批判された韓国ドラマ、制作陣が「小説タイトルをドラマに寄せて再出版」と反撃し”ドロ沼化”

2024年01月24日 テレビ #韓流時代劇

熱い感動を抱かせた大河ドラマ『高麗契丹戦争』(原題)が制作陣と原作者の葛藤で不必要に疲弊している。

【注目】「三流だ!」大河ドラマの原作者が猛批判

公営放送50周年を記念した韓国KBSの大河ドラマ『高麗契丹戦争』(全32話予定)は、第15話で視聴率10.2%を記録し、2023年の「KBS演技大賞」で大賞(チェ・スジョン)を含む7冠に輝いた。

特に第16話で退却する契丹(きったん)軍を攻撃して捕虜を救出し、壮烈に戦死した楊規(ヤンギュ、演者チ・スンヒョン)や金叔興(キム・スクフン、演者チュ・ヨンウ)は熱い感動を与えた。

しかし1月13日に放送された第17話からは、開京に戻った顕宗(ヒョンジョン、高麗の王。演者キム・ドンジュン)が豪族勢力を廃止する過程が描かれ、原作とは異なり、実際の歴史考証を無視したという批判が出ている。

特に、顕宗が高麗軍総司令官の姜邯賛(カン・ガムチャン、演者チェ・スジョン)と葛藤を見せ、落馬事故を体験する過程がキャラクターを崩壊させたという指摘を受け、原作小説家のキル・スンスも原作とは違う方向に進んでいるとし、「大河時代劇ではなくウェブ小説のようだった」「ドラマが三流から抜け出すことを祈る」などと露骨に批判したりした。

「小説とドラマは別物、第1話から」

大河ドラマ『高麗契丹戦争』
(画像提供=KBS)大河ドラマ『高麗契丹戦争』

興味深いのは、そんな批判に対してKBS側が異例にも『高麗契丹戦争』の誕生秘話を公開して収拾に乗り出したことだ。

ドラマのチョン・ウソン監督によると、2022年上半期に版権獲得および諮問契約を結び、その後の制作過程でドラマに登場する戦争シーンや戦闘場面の細かいディテールは小説『高麗契丹戦記』を参照にしたという。

また、脚本家のイ・ジョンウが合流して話の方向性が合わず、諮問チームを新たに設け、第1話からストーリーラインやシーン別の細かいディテールの意見を受け、台本を執筆。そのため原作とドラマは“別物”と主張した。

ドラマ制作陣は「高麗の皇帝・顕宗が彼の師である姜邯賛と高麗をひとつにまとめるために、どんなリーダーシップを繰り広げていくのか期待してほしい。また、クィジュ大戦が勃発するまでの高麗と契丹の外交政策と、それをめぐる多様な人物の葛藤と対立まで多彩なストーリーでお伺いするので、多くの期待と応援をお願いする」と頼んだ。

しかし原作小説家のキル・スンスが再び立ち上がった。キル・スンスは「2022年6月頃に初めて参加したとき、たしかに私の小説と違う方向性があった。その方向性は千秋太后(チョンチュテフ)がメインの悪役になって顕宗と対立し、契丹の侵攻を呼び込むストーリーだった。びっくりして、そのような歴史歪曲の方向に行けば『朝鮮駆魔師』事態(歴史歪曲の騒動で打ち切りに)になる可能性があると言って放棄されたが、元貞王后(ウォンジョンワンフ)を通じてある程度、生かされている」と指摘した。

これに対して、チョン・ウソン監督がもう一度口を開いた。チョン監督は「ドラマの原作契約は非常に多様な形が存在する。原作の設定やあらすじに沿ったリメイクの形から、原作のアイデアを活用するための契約まで様々だ。『高麗契丹戦争』の原作契約は、リメイクや一部分を脚色する契約ではなかった」と伝えた。

さらに「小説『高麗契丹戦記』は、話の叙事よりは当時の戦闘状況の細かいディテールが豊かに盛り込まれた作品だ。必ず必要な戦闘シーンをリアルに再現してみようと、キル・スンス作家と原作および諮問契約を結び、劇中の一部の戦闘シーンにうまく活用した。だが、キル・スンス作家は(脚本家の)イ・ジョンウ作家の台本執筆が始まる時点で、自身の小説と“ストーリーテリングの方向性が違う”という理由で考証と関連した諮問を断り、数回諮問に応じてくれるよう要請したが、ついに固辞した。その後、私は新しい諮問者を選定し、几帳面な考証作業を経て執筆および制作を進めている。それでもキル・スンス作家が私と制作陣が自身の諮問を受けなかっただけでなく、基礎的な考証もなしに制作していると主張することに当惑を感じる」と明らかにした。

そして「キル・スンス作家が自分だけがこの分野の専門家であるかのように話すことにも同意できない。このドラマのアドバイザーは、歴史を専攻し、一生を歴史の研究に捧げてきた方だ。ちなみに去年の夏、小説『高麗契丹戦記』は『高麗契丹戦争』にタイトルが変わり、再出版された」と指摘した。

「原作者の意図がわからない」

大河ドラマ『高麗契丹戦争』
(画像提供=KBS)大河ドラマ『高麗契丹戦争』

ドラマの脚本を書いたイ・ジョンウも立場を明らかにした。イ・ジョンウは「『高麗契丹戦争』は、小説『高麗契丹戦記』を映像化する目的で企画されたものではない。大河ドラマ『高麗契丹戦争』はKBSの自主企画で誕生し、最初からタイトルも『高麗契丹戦争』だった」と強調した。

また、「このドラマの脚本家になった後、原作小説を検討したが、私とは方向性が合わないという判断を下し、その時から高麗史を基盤に最初から物語を設計し直した。私が台本で具現したすべてのシーンは、そのような過程を経て新しく創作されたシーンだ。最初から別の道を進んでいて、どの場面ひとつ一致するものがない。それは原作小説家が一番よく知っていると思う」と説明した。

さらにイ・ジョンウは「最初から別の作品だったので、実は原作と比較すること自体が無意味だ。それでも原作小説家が“第16話までは原作の枠にいたが、第17話からそれを脱して変な方向に進んでいる”といったふうに表現する意図がわからない」とし、「このドラマは一部の戦闘シーン以外は原作小説と何の関係もない。第1話からそうだったし、最終話までそうだ。自分の文章に対する自負心があるのであれば、他の作家の文章に対する尊重もなければならない。原作小説家が私に対する資質を云々して非難するのは、明らかに度を超えた行動だ。そのようなやり方なら、私もいくらでも原作小説を評価し、その作家の資質を非難することができる。ただ私がそうしないのは、他人の苦労に対する当然の尊重のため。このドラマをどのように構成し、リードしていくかは、ドラマ作家の役割だ。私は自分のドラマで評価され、小説家は自分の小説で評価されればいい」と語気を強めた。

原作小説家キル・スンスと視聴者からの批判に『高麗契丹戦争』制作陣が口を開き、さらにキル・スンスが暴露を加えて議論は“ドロ沼”になっている状況だ。

お互いに対する尊重が必要な時点ではないだろうか。

(記事提供=OSEN)

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