韓国では今、“バーチャルタレント”たちが勢力を拡大しつつある。2016年に日本のキズナアイから始まったこの流れは、韓国にも波及している。
【写真】8億ウォンかけた“バーチャル人間”、実在アイドルにそっくりで非難
1998年、韓国初のサイバー歌手「アダム」がデビューして25年、“アダムの子孫たち”がZ世代の心をとらえている。ブラウン管の中だけに存在したアダムとは異なり、アダムの子孫たちは単独コンサート開催、アイドルグループとしてステージに立つなど、人間と同様の活躍を繰り広げている。
コロナ禍で注目度が増したメタバースが、Z世代の“オタ活”の一つになって3年、彼/彼女たちはK-POP界で一定の地位を築き、大きな愛を受けているが、中高年にとっては依然として不慣れな存在だ。一部では「Vチューバーグループ」と「バーチャルヒューマングループ」を混同したりもする。
Vチューバー「Soopteunhun」として活動中の歌手キム・ジャンフン(60)は、Vチューバーマネージャーに「周辺の人々からは、なぜ漫画をしているのかという話をよく聞く」とし、「いくらメタバースで活動中だとしても、中高年世代は理解しづらいようだ」と苦労を吐露した。
Vチューバーグループとは、実在する人間の行動を映像化して作った仮想グループだ。ネット上では彼らがキャラクターとして認知されており、各キャラクターの行動、表情、声などは実際の人間のものを“レンダリング”して放送している。
2018年にVチューバーという概念を確立した“パイオニア”、キズナアイの触発されたのか、近年では韓国でも増加傾向にある。なかでも人気を集めているのは、134万人登録者を誇るユーチューバー「Woowakgood」が2021年に企画、製作したグループ「ISEGYE IDOLL(異世界アイドル)」だ。
ISEGYE IDOLLは、公開から24時間以内に累計ストリーミング数100万以上を達成したアルバムを選定する「Melonの殿堂」に、ウェブトゥーンOST『LOCKDOWN』『Another World』、そして今年8月に発売したシングル『KIDDING』まで、3曲連続で名を連ねた。これはバーチャルアイドル初の記録だ。最近では、仁川(インチョン)で開催された「異世界フェスティバル」で、実際にアーティストたちとステージにも立っている。
「異世界フェスティバル」を企画したキム・ヨンミンPDは「ISEGYE IDOLLは他の世界ではなく、2つの世界で活動するグループ」とし、「リアルアーティストたちとISEGYE IDOLLが共にステージに立った姿を通じて、K-POP界の一グループであることを見せようとした」と明らかにした。
ほかにも、昨年はバーチャル“インフルエンサー”「ROZY」が旋風を巻き起こした。彼女はコロナ禍以降、メタバースに対する社会的、経済的関心が爆発的に増加したことで広告業界を席巻。ROZYのように「バーチャルヒューマン」と呼ばれる仮想人間は、AIを基盤にしたキャラクターだ。最近ではバーチャルヒューマンアイドルグループまで登場し、K-POP業界の注目を集めている。
世界初のK-POPバーチャルアイドルグループETERNiTYが所属するPULSE9のホ・インギョン室長は「ETERNiTYは韓国国内よりも海外での反応がより熱い。最初は3Dモデリングに対する批判が多かったが、今はK-POPコンテンツの一つとして見られている」と明らかに。続いて「コンテンツの多様化、また早く製作するため、声、行動で代役を使った」とし、「費用節減のためのもので、他の仮想人間も依然として代役を使っている」と説明した。
ETERNiTYは2022年に日本活動もスタートさせており、来る10月には韓国でデビュー3年目にして初の単独コンサートを開催する。
ETERNiTYのほか、MAVE:、PLAVEなどのバーチャルヒューマングループも存在する。PLAVEは9月23日、ソウルのワールドカップ競技場で開かれたMBC「アイドルラジオコンサート」のステージに立ったりもした。
アダムがローンチされた1998年当時、アダムのソフト広報チーム長を務めたこともある大証文化評論家チョン・ドクヒョン氏は「初めてサイバー歌手アダムが登場した時は“偽物”と思った大衆が、今はバーチャルグループに“没入”している」と診断する。
また「現在、バーチャルアイドルが流行っている理由は、このような感受性を受け入れられる雰囲気のおかげ」とし、「日常で仮想世界に簡単に接する雰囲気が造成されたことで慣れ、バーチャルアイドルを実感できるようになったようだ」と分析した。
■【写真】8億ウォンかけた“バーチャル人間”、実在アイドルにそっくりで非難
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