「あ、警察が何だよ。民衆の棒じゃないか」
相変わらずだ。法律より先に出る強い拳も、言葉遊びのような冗談も、悪い奴は捕まえなければならないという信念も、そしてシングルであることも。
変わったことといえば、職場が変わり、敵が増えたという点だ。1、2のヒットによるプレッシャーと、期待に満ちた世間からの視線はおまけである。
これは、映画『犯罪都市3』(原題)の主人公マ・ソクトと、マ・ソクトを演じた主演俳優兼製作者のマ・ドンソクが置かれた状況だ。
5月31日より韓国で公開中の『犯罪都市3』は、今や韓国を代表する人気シリーズとして位置づけられている。映画公開前、ソウルのあるカフェでインタビューに応じたマ・ドンソクは、「映画製作のために軟骨と骨をすり減らした。脚本家、監督とシナリオを80回以上も直したため、髪もかなり抜けた」と大笑いした。
だが、マ・ドンソクにとっては脱毛など些細なことだろう。高校生だった1980年代にはバイク配達での事故、青年時代を過ごした1990年代のアメリカでは、ビルの階段掃除中に肩を骨折したことがある。それだけでなく、俳優として活動を開始した2000年代には、海外での撮影中に建物の崩落に巻き込まれ、脊椎が骨折したこともある。膝の軟骨と足首のアキレス腱がないという話は盛っていないのだ。
ほかにもリハビリ治療を早期に受けられなかったことで神経系が損傷し、パニック障害まで経験している。筋肉で覆われた外見とは違い、中身は満身創痍だが、ワーカホリックから抜け出せずにいるのが今のマ・ドンソクだ。
すでにシリーズ8まで企画された『犯罪都市』シリーズはもちろん、海外でのプロジェクトも山積している。
新種の麻薬犯罪捜査を描いた『犯罪都市3』は、現職刑事たちの実話も盛り込まれているという。先立って公開された2作が大きな人気を集めただけに、3は人気を維持しつつも、新しいものを見せなければならないという二重苦があったそうだ。
「制作チームも第2弾の成績にショックを受けました。そんなにうまくいくとは思わなかったんですよ(笑)。それで差別化を図るために、もっと膝を突き合わせました。状況、ストーリー、ヴィランは変わり、感情の幅は増幅するように方向を定めました。『犯罪都市』が『犯罪都市』を模倣してはいけませんからね」と思わぬ苦労を明かしている。
1でユン・ゲサンが演じたチャイニーズマフィアのボス、チャン・チェン、2で凶悪犯カン・ヘサンを演じたソン・ソックに続き、3ではイ・ジュニョクと青木崇高がヴィランに変身している。
新種麻薬事件の黒幕であるチュ・ソンチョルをイ・ジュニョクが、日本ヤクザのリキを青木が演じている。
マ・ドンソクは「映画『神と共に 第二章:因と縁』でイ・ジュニョクと共演したことがあるが、人柄も良く、情熱にあふれた俳優」と評した。
一方、韓国映画初出演の青木については「ヤクザ役のために日本人俳優を望んでいたのだが、『るろうに剣心』を見たあと、青木が出演した全作品を見てキャスティングした」と説明。これまでのヴィラン同様、2人の俳優は両者ともジェントルなビジュアルが目立つという共通点を持つ。
『犯罪都市』におけるヴィランについて「外見もだが、俳優のイメージを覆したかった。全身が傷だらけの私が活発にアクション演技をし、極悪非道な悪役を演じたことのないユン・ゲサン、ソン・ソックがヴィランを引き受けたのと同じ理屈」とし、「『犯罪都市』の外伝として、悪党たちが全員出演する案も悩み中」と付け加えた。
作品の中心であるヴィランのほか、観客の印象に残るほど個性的なサブキャラを抜擢するために、1000人以上のオーディションもしたという。「主人公だけが目立つより、助力者の役割も活きなければならない」と強調している。
実際、1のチン・ソンギュ、キム・ソンギュは『犯罪都市』を通じて頭角を現し、韓国映画界にとって欠かせない存在に成長したことが、その証左だろう。
続いて「私も無名時代、“通行人7”、“ヤクザ6”のような端役を長く経験したので、彼らの切実さをよく知っている」とし、「3ではトモ役のアン・セホに注目してほしい」と頼んだ。
■「エンタメは人と人の心を繋ぐ」俳優・青木崇高が『犯罪都市3』
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