K-POPや英米圏の音楽が主流を占める韓国音楽チャートでJ-POP楽曲がちらほら見え始めている。
韓国の映画界では最近、『THE FIRST SLAM DUNK』『すずめの戸締り』などの日本作品が大ヒットしているなか、新鋭アーティスト「imase」の『NIGHT DANCER』が韓国音楽サイトのメインチャートに名を連ねたと話題だ。
2019年から韓国で続いている「No Japan」ブーム。その中でも、日本のポップカルチャーは徐々に韓国の大衆を虜にしているという。
韓国におけるJ-POPブームの中心はimaseだ。彼が2022年8月にリリースした『NIGHT DANCER』は、J-POPとしては初めて韓国大手音楽プラットフォーム「Melon」の海外デイリー総合チャートとトップ100チャート入りという歴史を作った。
海外総合チャートでは2位、トップ100チャートで17位をそれぞれ記録しており、いずれもJ-POPとしては最高記録だ。過去にも日本の音楽が人気を得た時期もあったが、大部分が人気アニメの主題歌や挿入歌だったことを考えると、imaseのケースは異例の現象と言える。
ある韓国の音楽業界関係者は「最近、韓国でのJ-POP人気が尋常ではない。これまで日本の漫画、アニメ、映画など特定の分野では根強い人気があったが、最近は若年層を中心にJ-POPブームが再び吹いている」と分析した。
前出のMelonのほかにも、AppleMusic、YouTubeMusic、Spotifyなど、若年層が愛用する音楽プラットフォームでもJ-POPが多数確認できる。YOASOBI、ヨルシカ、米津玄師、星野源、Official髭男dismなどが若い世代に好まれているようだ。
ユーチューブには特定のコンセプトの楽曲を集めたプレイリストが無数に存在するが、最近では『J-POPブームは来る!』『聞くやいなや惚れるしかないJ-POP』と題されたプレイリストが多く登場しているだけでなく、再生回数は数万にも上っている。
このような若年層を中心としたJ-POPブームの背景には、ショートフォームコンテンツ(10分前後の短い映像)のブームとともに、新たな音楽に接する機会が増えたことが要因のようだ。
実際、最近のユーチューブ、TikTokなどでは『NIGHT DANCER』チャレンジが流行しており、TikTokだけで10万件以上、12億回以上の再生数を記録している。
このダンスチャレンジにはIVE、Stray Kids、ATEEZ、STAYCといった新世代K-POPアイドルも参加している。imaseはこのような人気に支えられ、4月13日にソウルで初の訪韓ショーケースを開くにまで至ったほどだ。
ほかにも、あいみょん『愛を伝えたいだとか』やHoneyWorksの『可愛くてごめん』といった楽曲もショートフォームチャレンジで使われ、高い再生数を記録している。
ある音楽企画会社の関係者は「TikTok、ユーチューブなどが新たな音楽を発見するプラットフォームとして位置づけられた」とし、「今やTikTokチャレンジやユーチューブショートを通じた新曲のPRは、企画会社でも必須な要素になった」と話す。
韓国で愛されているJ-POPは、主にシンガーソングライターやバンドの楽曲に限られている点も特徴的だ。
ある関係者は「90年代までのJ-POPがバラード、ロック、アイドル、アニメ音楽などで多様なジャンルの音楽を先導したが、2000年代のK-POPの拡張によってJ-POPは韓国で力を発揮できなかった」とし、「最近流行っているJ-POPも、日本の若いシンガーソングライターに限定されている。日本のアイドル音楽は依然として韓国で力を発揮できずにいる」と指摘。趣向が細分化されたJ-POPが、新興プラットフォームに乗った新ジャンルとして韓国のMZ世代に求められていると分析している。
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