すっかり社会問題となった韓国の校内暴力議論、『ザ・グローリー』監督の暴力事件が“特殊”なワケ

2023年03月15日 話題

Netflixで配信された韓国ドラマ『ザ・グローリー~輝かしき復讐』パート2が、2日連続でNetflixテレビショー部門の全世界1位に上がって大ヒットを見せている。

【写真】「仲良しすぎ?」『ザ・グローリー』のビハインドカット

しかし演出を担当したアン・ギルホ監督の校内暴力疑惑が浮上し、完結したドラマの余韻を半減させる要素として作用している。さらにアン監督が自ら認めた暴力を、そもそも“校内暴力”や“いじめ”と見るべきかどうかという議論が進行中だ。

ややもすれば、学校で発生した暴力をどこまで校内暴力と見るべきかが『ザ・グローリー』の投げかけた本当の話題かもしれない。

ドラマは大ヒット!しかし…

『ザ・グローリー』は、学生時代に受けた校内暴力によって魂まで破壊された一人の女性ムン・ドンウン(演者ソン・ヘギョ)が生涯をかけて緻密に準備した凄絶な復讐を描いた作品だ。

3月14日(現地時間)、グローバルOTTプラットフォームの視聴順位集計「FlixPatrol」によると、『ザ・グローリー』パート2はNetflixテレビショー部門で1位を記録した。

(画像提供=Netflix)『ザ・グローリー』

『ザ・グローリー』は同日、日本、香港、インドネシア、ジャマイカ、ヨルダン、ケニア、クウェート、マレーシア、メキシコ、モルコ、ニュージーランド、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ポーランド、カタール、サウジアラビア、シンガポール、韓国、スリランカ、台湾、タイ、トルコ、アラブ首長国連邦、ベネズエラ、ベトナムなど、全世界の多様な42の国や地域で1位となった。

いわゆる「作監俳(作家=脚本家、監督、俳優のバランス)」が、ものすごいシナジー効果を発揮した。

先立ってドラマ『ザ・キング:永遠の君主』で停滞した脚本家キム・ウンスクの筆力が再び認められ、アン・ギルホ監督の細密で感覚的な演出力がすべてのシーンを輝かせた。ここに女優ソン・ヘギョを筆頭に、イム・ジヨン、パク・ソンフン、チャ・ジュヨン、キム・ヒアラ、ヨム・ヘランなどの出演俳優たちは、皆が“人生キャラクター”(俳優人生でベストなキャラクター)という好評を得て演技者としての栄光を抱いた。

しかし去る3月10日のパート2公開当日に浮上したアン・ギルホ監督の27年前の校内暴力疑惑は、衝撃的だった。

情報提供者A氏は、アメリカ在住の韓国人のコミュニティサイト「ヘイコリアン」に、1996年、自身が中学2年生だったフィリピン留学当時、高校3年生だったアン監督から2時間ほど激しい暴力を受けたと主張した。

A氏は「同級生らがアン監督の当時のガールフレンドをからかったことが理由で暴行を受けた」とし、当時、アン監督が国際学校に通う他の学生を通じてA氏と友人を呼んでくるよう指示し、脅迫に勝てず連れていかれたところで暴行を受けたと明らかにした。

これに対して一部からは「A氏と同級生がそのガールフレンドをひどくからかったため、アン監督から暴行を受けたのではないか」などの推測も上がった。ただその推測は正しくないようだ。

当時のアン監督のガールフレンドは、とあるメディアを通じて「同級生たちがアン監督の名前を変えて“アン・ギロ”とからかった。一部ではこの単語が“性的な冗談”と解釈されたが、当時は性的な冗談をいう年齢でもなかったし、当時はロング脚、ショート脚が流行していたときなので、足が短くて(アンギロ=“長くない”という意味になる)からかうような、そんな冷やかしだった」と振り返った。

(写真提供=OSEN)アン・ギルホ監督

また、情報提供者A氏も「暴行は正当化できない。まして高校3年生が中学2年生の2人を人気のない場所で暴行することが正当化できるのか、問い返したい。アン監督が今からでも当時のことをきちんと謝罪し、反省することを願う」と強調した。

アン監督側は当初は疑惑に否定的だったが、法務法人を通じて暴露が事実であることを認めた。アン監督側は「アン・ギルホ監督は1996年のフィリピン留学当時、交際を始めた恋人がいたが、彼女が学校でからかわれたという話を聞いて瞬間的に感情が激しくなり、他人に消せない傷を与えた」とし、「このことを通じて傷ついた方々に心から許しを求める。機会が与えられれば直接お目にかかるか、有線を通じてでもお詫びの気持ちを伝えたいと思う」と謝罪した。

アン監督の校内暴力議論は、『ザ・グローリー』の数字的な成功にまったく否定的な影響を与えなかったと見られる。結局のところ、現実には「ヨンジン(劇中のいじめ加害者)が勝った」という反応が出るほどだ。

そもそも“校内暴力”なのか

しかし「アン監督=ヨンジン」と追い込むには、釈然としないところがあるのも事実だ。

オンライン上の大きく食い違う意見は、それを証明する。アン監督の事件は、これまで大問題になった校内暴力事件とは一線を画し、さらに校内暴力の“基準”に対して再び考えさせるきっかけになったといえる。

アン監督の暴行を「校内暴力とは言い難い」という立場の人々は、いじめと暴力の持続性が不明で(1回だけの可能性)、「からかい」という原因提供があったという点などを理由に挙げている。校内暴力というよりはケンカという見方だ。

一方で「校内暴力だ」という立場からは、「1対1であればケンカといえるかもしれないが、2人以上対1人のケンカは校内暴力と見ることができ、学校という背景と空間で起きるすべての暴力事件、特に弱い学生(後輩)に加えた暴力は校内暴力に当たる」と主張する。

激しい両側の論争は現在進行形であり、「校内暴力の定義を明確にしなければならない」という主張と、逆に「基準をもう少し包括的に取らなければならない」という意見が交錯している。

「校内暴力ということを社会的合意で明確に、そして狭く範囲を定めるものの、重大な件は強力に処罰しなければならない」「校内暴力の加害者、被害者は無条件にいかなる場合でも生じてはならない。いかなる場合であれ、他人を苦しめ痛みを与える行為は校内暴力だ」「一方的で持続的なのが校内暴力だ」「普段同等の関係で親しく過ごし、お互いに口論や体当たりはあったとすればケンカ、それ以外は校内暴力」などなど、様々な意見が出ている。

これまでも監督の私生活のイシューと、彼が作った作品のメッセージを分離して眺めるべきか、それとも延長線上で批判を加えるべきかの議論は常に存在してきた。『ザ・グローリー』も同じだ。

いずれにしても、この作品が伝える強力なメッセージだけは消えないことを願うばかりだ。

(記事提供=OSEN)

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