―ク・ヘリョンは、総じて主体的な女性だ。シン・セギョンとはどのぐらい似ているのか。
共通点はたくさんあるけれど、見習いたいと思う点も多い。胸の内で野心を燃やしているところは似ていると思う。だけど私は社会化した人間なので、ク・ヘリョンのようにすべてのことに対して声を上げることはできない(笑)。それだけに、演じながら個人的にカタルシスを感じたシーンが多かった現代を生きる自分が、衝撃を受けることが多かった。藝文館で働く史官の宿命を語るシーンも、とても良かった。
―キャラクターに対する大きな愛情を感じる。
ク・ヘリョンを演じたことが誇らしいし、こんなキャラクターに出会えて嬉しかった。これからも、こんな作品が増えればいいと思う。一種のファンタジーのようなものだから最初は心配だったけど、撮影が進むにつれて不安は自然と消えていった。完全に集中することができた。
―相手役のチャ・ウヌとの演技はどうだったか。
とても楽しかった。チャ・ウヌさんは、キャラクターとのシンクロ率が高いように感じた。ノクソダン(綠書堂)で20年という年月を生きた穢れのない人間の姿を、完璧に表現してくれたのではないかと思う。チャ・ウヌさんの演技を見て、あまりにも自然で実際の姿と違いがないような気がした。そのため、一緒に撮影をしていても自然なリアクションをすることができて、良い相乗効果が生まれた。
―『新入“史官”ク・ヘリョン』と、役割がそのままタイトルになっていた。これに対するプレッシャーはなかったのか。
まったくなかったと言えば、嘘になる。それでも、多様な人々の叙事を深く掘り下げた作品だったから単純に1人で背負っていくという感じではなかった。一緒に作品を完成させるという姿勢でやってきたし、ベテランの先輩たちも大勢いらっしゃって、撮影のときは頼もしく感じた。
―出演作を決める際に、なにか基準があるのか。
1点のみを第一の基準にすることは難しい。キャラクターを見ることはもちろんだけど、物語の流れも判断基準になる。制作陣や共演者の方々も、実際にやってみたときのイメージを十分にしなければならない。私はさまざまな要素を総合的に見て決めるほうだけど、全体的に見て主体的な女性キャラクターという共通点がある。
「自立した女性キャラクターをわざわざ選んでいるのか」という話もあるけれど、多くの要素を総合した結果だと思っている。自分の趣向が反映されていて、そんなキャラクターを表現するときに一層楽しさを感じて幸せな気持ちになる。これは否定できない。
―次回作の計画はどのようにしているのか。
次の作品はまだ決めていない。役者はいろんな変身をしなければならないのでなんとも言えないけど、次回作でも今回のような物語に出会えたらいいなと思っている。人々にとって大きな喜びになるよな作品に出会えれば、もっと良い。(つづく)