ひとつは、時代劇の制作費が関係しているだろう。
一般的に、韓国での平均的なドラマ制作費は3~6億円といわれている。対して時代劇は10億円を超えることも珍しくない。
そのためテレビ局や制作会社、スポーンサーは時代劇の完成度に厳しい視線を向ける。逆にいえば、作品が成功した場合、それが俳優の評価に直結するというわけだ。
次に、時代劇には現代劇にはない難しさがある。
時代劇はセリフのトーンや表情などが現代劇とは大きく違うため、たしかな演技力がない俳優が演じると違和感が顕著で、視聴者からの容赦ない非難が殺到する。そのため時代劇に挑戦する俳優たちは、現代劇よりも多くの時間を作品に割くといわれている。
難しさがあるがゆえに、時代劇で存在感を示すことができた若手俳優は、一気にスターダムを上がることができるのだ。
そして韓国の時代劇は、幅広い層に見られるジャンルという点も影響しているかもしれない。
近年、時代劇の人気は年配層だけではなく、歴史を学ぶという観点や人気俳優が出演しているということから、学生をはじめとする若者にまで拡大した。俳優たちを品定めする視聴者の目が増えたことにより、幅広い支持を得られる可能性があるわけだ。
批判される可能性も高いが、得るものも大きい。時代劇は俳優にとって“ハイリスク・ハイリターン”な選択といえる。だからこそスターを目指す若手俳優や存在感を示したい俳優が、時代劇に挑戦するのだろう。
いずれにしても、ユン・シユンが時代劇を通じて、さらなる飛躍を果たしたことは間違いない。そんな彼が出演する『不滅の恋人』を楽しみたい。