BTS(防弾少年団)が全世界で収めている成功は、台湾の音楽界でも注目する事例だ。欧米で熱い反響を呼んでいるBTSが、人口14億人以上の中華圏から誕生するのではなく、人口5000万人の韓国から生まれたことは実に特異的なことだった。
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去る10月27日、台湾・台北の国立台湾大学スポーツセンターで行われた「2018ゴールデン・インディー・ミュージック・アワード」(GIMA)の現場で会った陳瑞凱(RayKai Chen)氏は、K-POPとKインディーについて「運営システムと方向性が完成されている」と高く評価した。
陳氏は台湾のロックバンド「1976」のメンバーでありながら、台湾最大規模のインディー・ミュージック授賞式であるGIMAの開催者でもある人物だ。今年はGIMAイベントとあいまって、台北で第1回「Asia Rolling Music Festival」を開催した。同フェスティバルには台湾だけでなく、日本、韓国、タイのアーティストらが公演を行った。
陳氏は、中華圏の音楽とK-POP・Kインディーの差について「台湾も同じだが、中華圏の音楽は歌詞を重視する。韓国音楽は違う。K-POPもKインディーも、歌詞より感覚が優先されているようだ。K-POPとKインディーはともに雰囲気を重視している。K-POPの場合、パフォーマンスもそれに劣らず重要だ。全世界のファンに韓国の音楽がアピールできる要因だ。歌詞を聞いて吟味するよりも、体で感じられる音楽だ」と説明した。
また「中華圏のアーティストがアジア地域で有名になることは難しいことではない。中華圏に名前が広がるだけでも、とてつもない成功だ。そのため中華圏のアーティストは、海外進出への意欲があまりない。当然、世界進出もあまり考えない。しかしK-POPは、最初から世界進出を目標にしているようだ。BTSの世界的な成功には、そのようなK-POPの流れやシステムが背景となっている」と分析した。
BTSについては、「高く評価する。パフォーマンスとイメージ、雰囲気は断然最高水準だ。中華圏にはそういった類型のチームのうち、BTSほど高い完成度を見せるチームがない」と話した。さらに「BTS以前の世界的なボーイグループとしてOne Directionがいたが、彼らは英語を使うという利点を持っていた。BTSは言語的な制約を克服した事例だ」と高く評価した。
一方で、Asia Rolling Music Festivalなどを通じて、台湾をアジア音楽のハブ役にと構想する陳氏は、「ソウルと台北は距離的に近い。お互いが持続的に音楽交流をする機会を作りたい。台湾の音楽家が学ぶ部分も多いようだ。持続的にアーティストとファンが交流する機会を作っていきたい」と語った。
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