そしてイ・ソジンは今年1月、TVINGオリジナル『内科パク院長』で自身初のコメディに挑戦した。イ・ソジンは劇中、真の医師を目指すが、経営に関しては素人の内科開業医パク・ウォンジャンに扮した。パク・ウォンジャンはハゲを隠すため、中途半端な“かつら”を被っている。これに対し、イ・ソジンはハゲ頭の扮装まで辞さなかった。決心して変身した彼のおかげで、作品は一気に話題となった。
またユン・シユンは昨年8月のwavveオリジナル『ユー・レイズ・ミー・アップ』(原題)で、公務員試験に向けて準備する31歳のト・ヨンシク役に変身。ト・ヨンシクという人物は、長い受験生活で自尊心が底をついたことにより“男性機能不全”を患うが、泌尿器科の医師になった初恋のルダ(演者アン・ヒヨン)と会い、自分のペースを取り戻す。ユン・シユンは難しいキャラクターを、説得力を持って演じきり、好評を得た。
このように、3人の既存イメージからの脱皮は、それ自体で十分に関心を集めそうだが、興味深い点はほかにもある。彼らが破格キャラで出演した作品は、全てオンライン動画サービスオリジナルドラマだ。その理由は、既存のテレビ局よりも、あらゆる面が自由であり、視聴ターゲット層の年齢帯が低い点からも探すことができる。
『ユー・レイズ・ミー・アップ』の製作に参加したイ・サンミンプロデューサーは8月31日、本紙『スポーツソウル』に、「作品が伝えようとするメッセージは普遍的だが、“男性機能不全”というテーマに対する先入観が強かった。地上波は保守的な方なので、編成が難しかった。台本が出きて5年後、偶然、話が再燃した。キム・ジャンハン監督と配信サービス用に作ると決めて準備した。そして2カ月足らずで編成が確定した」と明らかにしている。
続いて、「ドラマは人間なら誰でも経験できる話だ。どのように包装するかが問題だ。しかし、強い包装紙のため、容易ではない部分があった。配信サービスという新しいプラットフォームができて、強い包装紙を活用できるようになった。クリエイターの立場としては、また別の機会が与えられたのだ。ありがたいことだ」と伝えた。
ほかにもトレンドに敏感な登録者を魅了するために、各種配信サービスは現実的だが特色あるドラマラインナップ構築に熱を上げている。
wavveの関係者は、「昨年、現実に共感できそうなテーマを、コミカルに解きほぐした『ユー・レイズ・ミー・アップ』『こうなった以上、青瓦台に行く』(原題)を公開した当時、有料加入者数牽引1位を記録した。『危機のX』もやはり、現実的なテーマにコメディを結合した作品」とし、「自主企画オリジナル作品は、サービスならではの色を見せられるよう、テレビコンテンツと区別して製作する。既存のテレビと自主企画物で大衆性と個性のバランスを合わせていけるよう、コンテンツ投資を持続的に拡大していく」と話した。