去る4月、アメリカ・ラスベガス公演を終えて韓国へと帰国したBTS(防弾少年団)のRMが、真っ先に訪れた場所はどこだろうか。
RMは帰国後、自身のインスタグラムにソウル城北(ソンブク)区立美術館で行われている特別展示『懷郷』を鑑賞する写真を投稿していた。
ソウル城北区立美術館で行われている西洋画家、故ユン・ジュンシクさんの10周忌追悼展『懷郷』では、1950年代初頭から2012年に亡くなる直前まで描いていた風景画、人物画、静物画、挿絵など、計140点余りの作品が展示されている。
今回の展示は、2012年以来、10年ぶりに開催される追慕展で、故ユン・ジュンシクさんと遺族の作品寄贈を賛えるものだ。
まず展示会場の入口を飾った作品は、ユン・ジュンシクさんが92歳の時に描いた作品『夕陽』。
“夕陽の画家”と呼ばれるユン・ジュンシクさんは、夕陽の光と、光が物体に落ちることに感銘を受け、幼い頃から夕陽を主題にした作品を描いてきた。
大胆な線と強烈な色彩が、水平に幾重にも積み重なっていく形式は、ユン・ジュンシクさんならではの個性的な表現法として知られている。
そして夕日の次に重要なテーマは鳩。RMもまた、鳥を主題にした作品を集めた場所での写真を残したが、展示解説員は「すでにRMは、ユン・ジュンシク画家のメインテーマが鳩であることを知って来ていたようだった」とし、「その中でも目を引く作品をSNSに残していた」と伝えた。
精米所を運営する裕福な家庭で生まれたユン・ジュンシクさんは、鳥と身近に接することができる環境で育ってきたため、故郷の風景画にも鳥が主に登場する。
また2階の展示室には、ユン・ジュンシクさんの個人史を垣間見ることができる作品が展示されている。
戦争ドローイングシリーズ28点は、ユン・ジュンシクさんが戦争によって家族と別れることになり、自身が直接見て体験した避難路の凄惨な実状をそのまま描いた作品だ。
今回の特別展示には、夕日、鳩をテーマにした代表作だけでなく、自画像、肖像画、静物画など、多様な画風の作品が展示されている。
美術館は「『懷郷』を企画し、ユン・ジュンシク画家の知らない裏面を多様に見せるために努力した」と伝えた。
先立って3月、生前「作品を散らすな」と言ったユン・ジュンシクさんの遺志を受け、遺族たちは城北区立美術館に作品と資料500点を無償寄贈した。
これに対し美術館は、「近現代の主要西洋画家の作品と資料の大部分が地域の公共美術館に還元される事例はほとんどなく、ユン・ジュンシク画家の作品寄贈の意味は大きい」と答えた。
ほかにも今回の展示では、家族もなかなか入らなかった画家のアトリエ空間をそのまま再現し、大衆に初めて公開している。
段ボール箱、スケッチブック、貝殻、筆立てに描いた絵、パレットなど、画家の作業空間と遺品も見ることができる。
なお画家ユン・ジュンシク他界100周年追慕展示『懷郷』は、ソウル城北区立美術館で7月3日まで開かれる。観覧料無料。
◇RM プロフィール
1994年9月12日生まれ。本名キム・ナムジュン。グループ内ではリーダーとメインラッパーを担当しており、英語が堪能な頭脳派でもある。BTSメンバーの中で最初にBig Hitエンターテインメントに加入したのがRMで、事務所代表のパン・シヒョクはBTSのデビューの経緯について「RMのような子はデビューさせなければいけないと思った。BTSを作ったきっかけは彼だ」とコメントしている。最年少メンバーのJUNG KOOKも「事務所見学の際にRMのラップに惹かれて事務所に入った」と明かしており、実力とカリスマ性を兼ねそなえた人物といえる。
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