BTS(防弾少年団)は基準を満たしていないのだろうか。
最近、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝したピアノ演奏家イム・ユンチャン(韓国芸術総合学校)の兵役に関する“恩恵”が注目されながら、K-POPアイドルや俳優といった「大衆文化芸術人」の兵役特例に対する関心も続いている。
「大衆文化」というジャンルにも差別なく公平に、恩恵が与えられるべきではないかという意見だ。
イム・ユンチャンは6月18日(現地時間)、米テキサス州フォートワースで閉幕した第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、歴代最年少の優勝を果たした。これによってイム・ユンチャンが受ける兵役の恩恵にも関心が集まった状況だ。彼はすでに今回の優勝の前に兵役に関する恩恵を受けている。3年前、ユン・イサン国際音楽コンクールで優勝し、「芸術要員」の対象となったのだ。
韓国の兵役法によると、国威宣揚および文化暢達に貢献した芸術・体育特技者は、軍服務の代わりに「芸術・体育要員」として服務することができる。文化体育観光部長官の指揮・監督のもと、兵務庁長が定めた該当分野で34カ月、服務すればいい。法的・行政的な用語は「服務」だが、事実上、入隊することなく継続的に活動を続けることができる。
去る5月のシベリウス国際コンクールで優勝したヴァイオリニストのヤン・インモも、軍服務を代替して「芸術要員」として活動し、キャリアを断絶することなく自分の分野で技量を向上させることができた。
相次ぐ国際コンクールでの成果報告のなかで「芸術要員」への関心が増加し、同時に大衆文化芸術界には適用されていない兵役の恩恵に対して公平性の問題が再注目された。
現行法上、大衆文化芸術人は兵役特例の対象にならない。基準がないという理由からだ。しかし最近、大衆文化芸術の文化・経済的な波及効果が莫大になり、大衆文化芸術人にも差別なく恩恵を受ける公平性が保障されなければならないという主張が出ている。
特にBTSの場合、韓国初の記録を次々と作り、世界的な地位に立っただけでなく、最近はジョー・バイデン米大統領とホワイトハウスで対談するなど、国際社会で“民間外交官”としての歩みを続けている。兵役特例が考慮されなければならないという主張に、説得力が加わっている状況だ。
新型コロナのパンデミック前にソウルで開かれたBTSのコンサートによって、観覧しに来た外国人やコンサートによる広報効果で、外国人を18万人以上も誘致したと推定された。これは平昌(ピョンチャン)冬季五輪の外国人訪問客の67%に上る数字で、金額に換算すれば1兆ウォン(約1000億円)に迫る価値を創出した。
また韓国文化観光研究院は、ポストコロナ時期のBTSコンサートの経済的な波及効果について、1回当たり最大1兆2207億ウォン(約1220億円)に達すると推定した。
他にもBTSは、3回にわたる国連総会演説、アメリカ3大大衆音楽授賞式であるビルボード・ミュージック・アワードで6年連続受賞、アメリカン・ミュージック・アワーズでアジアアーティスト初の大賞など、大衆文化芸術人として収めた成果と歩みで国家イメージの向上に大きく寄与したと評価されている。
それにもかかわらずBTSは、兵役法の中では「国威宣揚」と「文化暢達」に寄与したと認められていない状況だ。世界的に認められているK-POPだが、未だにクラシックなどの純粋芸術と大衆芸術の“クラス分け”が明確に下地にあることがわかる。
以前から大衆文化芸術に対する兵役特例の議論はあった。BTSの兵役問題も2018年から続いてきたが、基準がないという理由だけで、たびたび失敗に終わっている。これに対する問題提起が継続して水面上に上がり、大衆文化差別に対する議論が続いている。
BTSによって大衆文化の影響力が時々刻々と拡大する今現在は、大衆文化芸術人に対する兵役特例制度を検討する最適の時期と見られる。
(記事提供=OSEN)
前へ
次へ