犯罪行為に関係のない者であっても、犯人と特定関係にあることを理由に刑事上の連帯責任を負わせる制度「連座制」。韓国では法的にすでになくなったが、芸能界には未だに暗黙のうちに存在するようだ。
女優チョ・ヘジョンとシン・ダウンが家族が犯した過ちのせいで、後ろ指を差されているところを見ると、そう思わざるを得ない。
連座制のジレンマに陥った苦しい状況だ。
去る4月9日、Netflixでも配信中の新ドラマ『私たちのブルース』(tvN)が初放送されて以降、最も注目されたのは主人公ではなく助演女優だった。イ・ビョンホン、チャ・スンウォン、イ・ジョンウン、ハン・ジミン、キム・ウビン、シン・ミナと超豪華な俳優陣がそろったにもかかわらず、韓国視聴者の視線を奪ったのは、助演のチョ・ヘジョンだった。
『私たちのブルース』第1話で、ハン・ジミン(イ・ヨンオク役)が先輩海女たちに嫌味を言われたり、いじめられたりすると、チョ・ヘジョンは「ヘジャさんの言葉は聞き流して。でないとサザエしか取れない」と慰めた。翌日に放送された第2話でも、チョ・ヘジョンは市場でコーヒーを飲みながらハン・ジミンと視線を交わし合ったりした。
チョ・ヘジョンが出演したシーンは、2日間でたった2つ。セリフも短かったが、彼女に対する放送後の反響は大きかった。父親であるチョ・ジェヒョンがセクハラ加害者として注目されて芸能界を退場した状況で、娘であるチョ・ヘジョンも2017年11月の『ゴー・バック夫婦』以来、久しぶりにカムバックしたからだ。
4年半ぶりの俳優業復帰に、オンラインでは反応が分かれた。セクハラ加害者と目された人物の娘をテレビで見るのが嫌だという声と、家族“連座制”は不当だという意見が対立した。チョ・ヘジョン自身に過ちはないが、父親が犯した過ちへの嫌悪をそのまま引き受けることになった。
女優シン・ダウンも似たケースだ。
彼女の夫イム・ソンビンは去る2月、ソウル江南(カンナム)区・駅三洞(ヨクサムドン)の道路でベンツを運転中にバイクと衝突する事故に遭った。幸い怪我をした人はいなかったが、現場で飲酒測定を受けたイム・ソンビンからは、免停レベルの血中アルコール濃度の数値が出た。
偶然にも事故が発生したとき、シン・ダウンは自身のインスタグラムストーリーに女優キ・ウンセをタグし、「妊婦に食事を用意してくれる綺麗なお姉さん」というメッセージを残した。結婚から5年後にできた“2世”を抱いている彼女は、ボリュームたっぷりの食事のプレゼントを喜び、楽しい時間を過ごした。
イム・ソンビンの飲酒運転事故の衝撃は大きかった。結局、イム・ソンビンは「すべてのことについて深く反省している」とし、「すべての責任と非難を甘んじて受け入れる。今後、絶対に同じことが起こらないように反省する」と謝罪した。
2人は各種バラエティ番組やSNSを通じて仲良しの夫婦として好感を得ていたが、シン・ダウンも自然とSNS活動を中断した。
しかし時間が経った現在、慎重にインスタグラムにログインした。4月8日には「この部屋の主人はいついらっしゃるんですか?すぐに会おう」というメッセージと、子供のために飾りつけた部屋の写真を公開し、注目を集めた。
チョ・ヘジョンとシン・ダウンは、いずれも家族の過ちを連帯責任のように背負っているだけに、悔しいところがあるだろう。すでに1980年代以降、連座制は韓国から事実上消えた。
それにもかかわらず、大衆の好感度が下落していくことは避けられない状況だ。チョ・ヘジョンがチョ・ジェヒョンの娘であり、シン・ダウンがイム・ソンビンの妻であることは、否定できない事実だからだろう。
これまで愛されてきた2人だけに、背を向けたファンの心は恐ろしい。悔しい部分もあるが、悪質な書き込みを消すためには、チョ・ヘジョンは演技で、シン・ダウンは正しい家族愛でイメージを回復するしかなさそうだ。
(記事提供=OSEN)
■両親が詐欺、夫が飲酒運転、先祖が親日派…韓国芸能人を悩ます“家族リスク”事例
前へ
次へ