朝鮮王朝の518年間に国王は27人いた。
この中で、在位が一番長かったのは21代王の英祖(ヨンジョ)だが、逆に在位が短かったのはどんな国王だろうか。
一番在位が短かったのは、12代王の仁宗(インジョン/1515~1545年)である。
在位は、わずか8カ月ちょっとだった。彼は、11代王・中宗(チュンジョン)と章敬(チャンギョン)王后との間に生まれたが、母が出産後すぐに亡くなったので母の愛を知らずに育った。
中宗の後を継いで即位したが、1年も経たずに急死してしまった。継母の文定(ムンジョン)王后による毒殺説が流布している。
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その他に、在位が短かった国王を列挙してみよう。
◆睿宗(イェジョン/1450~1469年)
8代王で在位は1468~1469年だった。7代王・世祖(セジョ)の二男だが、兄が早世したのにともなって即位。しかし、19歳で亡くなり何ら政治的業績を残せなかった。
◆定宗(チョンジョン/1357~1419年)
2王で在位は1398~1400年。この定宗は、初代王の李成桂(イ・ソンゲ)の二男・芳果(バングァ)のことだ。父の王位を継いだが、実権は弟の芳遠(バンウォン)に握られて、独自の王政をできなかった。1400年に退位して、以後はひっそりと暮らした。
◆端宗(タンジョン/1441~1457年)
6代王で在位は1452~1455年である。
5代王・文宗(ムンジョン)の長男として、わずか11歳で王となる。1455年、叔父の世祖(セジョ)に脅(おど)かされる形で王位を譲り、上王となるも権限はまったくなかった。復位の動きを警戒した世祖は端宗を庶民に降格させた後、1457年に殺害してしまった。
◆景宗(キョンジョン/1688~1724年)
20代王で在位は1720~1724年。彼は粛宗(スクチョン)と張禧嬪(チャン・ヒビン)との間に生まれた。
母が死罪になっているために、王になっても肩身が狭いところがあったが、人柄がとても良く、『朝鮮王朝実録』にも「殿下は慈しみにあふれ、人徳があった」と記されている。この景宗は、異母弟の英祖(ヨンジョ)に毒殺されたという疑いも残っている。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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